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全頭型円形脱毛症になった話

時は遡ること3年前、大学3年の冬、21歳だった。それは唐突に訪れた。 最近やたら頭痒いな〜毛が抜けるな〜くらいにしか思っていなかった。たまにめちゃくちゃ毛が抜ける時期ってあるし、すぐ終わるだろうと思っていた。少し不安になって調べても、寒いし乾燥してるからか〜と納得し、楽観的だった。 でもそれは止まる気配が全くなくて、友達に抜け毛やばいんだよね〜と話しながら後頭部を見てもらったら、なんとハゲていた。500円玉より少し大きいくらいの円形脱毛症になっていた。後ろ側だったので自分で

    • 愛想笑いと少しの吐き気

      職場の懇親会があった。ほぼ一年無職をやっていたが、今は新聞社の編集部にいる、と言うと聞こえはいいが、永遠コピペ作業のバイトである。 オフィスで寿司を食べた。へらへらしながら相槌を打ち、二回煙草で席を立ったが二回とも二本吸った。あんまり戻りたくなかった。何を話したらいいか全然わからなかった。マッチングアプリでたくさんの人に会ってコミュニケーションが昔より取れるようになったとしても、社会人としてのコミュニケーションはさっぱりだなと思った。 ビール飲めるかと聞かれて飲んだがだんだん

      • 全部愛してやるという大嘘

        11月20日に開催される文学フリマ東京に出店する。テーマ「愛」の合同小説誌を出す。5月の出店で全部終わりにするとか宣ったくせに、全く懲りていないのかもしれない。 全部愛してやるよという気持ちで書くつもりだったが生きててすみませんという気持ちになったりもして色々と予定外のことも起こり頭が混乱し、いつもどおりと言えばそうだが全部めちゃくちゃになってしまった。ああ私何してるんだとか思うわけでじゃあするなよと思うが、失踪するなら今だなとか思ったが他人を巻き込んでしまった手前、また偉

        • 第三十四回文学フリマ東京を終えて

          暑い。31度らしい。友人と共に荷物を持ちながら駅に向かった。友人は「暑くて最高」と言っていたが、確かにこの暑さは私の晴れ舞台、及び死に際にふさわしい。 およそ2年ぶりの流通センター。当時一緒に出た人と駅前で待ち合わせしたのを思い出した。初対面だった。その人とはなんやかんやあり失踪されてしまった。また別件で他の人にも失踪された経験があるのだが、かなり失踪されがちな人間であることがわかる。 ブースの準備に意外と時間がかかった。知名度などがあるはずもなく、とにかく足を止めてもら

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          私怨は終わりましたが文学フリマに出ます

          生活をしている。どうしようもなく。 目が覚めてキッチンに行き換気扇をつけて煙草を吸った。これが私の日常だった。たまにえずく。 朝食はいつからか食べなくなった。昔の私には、朝食を食べなければならないと言う決まりがあった。何故だろう。ずっとそれをしていたからそれをしていた。でもそれをしなくてもいいことに気がついた。重いパソコンを持って仕事に向かう。どうしようもなく生きている。 二年前、初めて付き合った男に振られた。好きじゃないと言われた。最初から最後まで、私のことを好きじゃ

          私怨は終わりましたが文学フリマに出ます

          私怨で文学フリマ東京に出ます【11月22日(日)開催】

          こんにちは。赤間です。 いつもめちゃくちゃな文章を書き殴っていますが、その延長で文学フリマ東京に出店してきます。 完全に私怨で出ることを決めたので、出店名「完全に私怨」で、四人で参加してきます。 初めはただの小説を書こうと思っていて、まあそういったものも書いたんですが、殆どいつも通りの、私のめちゃくちゃな感情を書き殴っておきました。 とんでもねえな〜と思ったけど、やっぱこれだな〜と思って、なかなかイカれたいい作品になったと思います。 以下、よろしくお願いします。 【202

          私怨で文学フリマ東京に出ます【11月22日(日)開催】

          青、渋谷、新江古田

          男は青のワンボックスカーに乗っていると言った。渋谷の公園通り沿いの指定された場所へ、私はスマホの地図を見ながら向かった。私は車の種類なんてわからないけれど、鮮やかな青色が目の前を通り過ぎて行った瞬間、すぐにそれだと気がついた。私は恐る恐る近づいて助手席のドアの窓を叩いた。 そこには目つきの悪い、素朴な見た目の男がだらしないTシャツ姿で座っていた。髪には金色が入っていた。 予定では男の住む新江古田まで電車で向かってそこで落ち合うつもりだったが、急に男が車で迎えに行くと言い出し

          青、渋谷、新江古田

          六月の魚

          この日も雨だった。 私はコンビニで買ったビニール傘を差して、歩き慣れた道を歩いた。サンダルを履いていたせいで、足は雨で濡れていた。 駅に着いた瞬間、男と目が合った。男の目は弱々しいようで、でもどこか遠くを見つめているような、深みがあるような、どこか儚げな優しさのようなものを感じた。 私は違ったとも、合っていたとも思わなかった。私は誰かを探していたけど、それはこの人だったかもしれないし、そうじゃないかもしれない。 その男は傘を差していなかったから、自分の傘を傾けるか悩んだ

          六月の魚

          ウニのような頭

          男はそっぽを向いてただ寝ていた。天窓からは光が差し込んで眩しい。とても寝ていられなかった。でも男の隣にいると少し安心した気持ちで、ここにいたいと思った。わたしが動いても男は動かない。時折寝返りを打つだけだ。それを少し寂しいと感じて男の体に寄り付くけれど、感じるのは体温の温かさだけだった。きっと、結局誰にも求められることはないのだと思う。いつも求める側なのだ。そしてその報酬が返ってくることはない。男の後頭部を見つめ続けても、そこから得るものなど何もない。わたしは布団を被り、光か

          ウニのような頭

          手巻きタバコと読書

          喫茶店でバナナタルトとストレートティーを注文し、本を読んでいたら一人の男の子と相席になった。髪が長くて眼鏡をかけていて、古着がよく似合う。本当に古着かはわからないけど。彼は鞄から分厚い本を取り出してテーブルに置き、ブレンドコーヒーを注文した。店員は迷わずに灰皿を持ってきた。常連客なのだろうか。  他の女性客にも声をかけられていた。近くの大学生か。この喫茶店に来る客は近所に大学があるから、そこの学生が多い。私は着慣れないスーツが鬱陶しくて、その黒い生地に灰を落としながらタバコを

          手巻きタバコと読書