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刺繍日和


空が灰色の時は

時間の色もくすんでしまって

昼寝ならよく眠れると言うのに
なんとく、灰色の雲に飲み込まれて時間に流されてしまう


文章と、絵のアイディアが出ない時は頭の中が曇りの日

頭の雲を晴らす方法は色々と蓄えて来た


森へ行くこと

自然の中でひとりになること
音楽を聴くこと

好きな曲が詰まったプレイリストにはいつの間にか飽きてしまって

もっと、こう今の自分にフィットした音が聞きたいのになんて思いながら
また、似たような音楽を聴いてしまう


ボートに乗って流されているだけの日々では、ひらめきもどこかへ隠れて出てこない


刺繍日和とは、こんな日に針を動かすこと

自分で作った図案がどんな風に仕上がって行くのかを楽しみに夢中になっていると
少しづつ気分は晴れて行く

刺繍や手仕事は、絵や文章がかけない時

森に行けない日の助けでもある


ゼロから何かを作ると言うことは、何かを独り占めできること


小さな子供を育てているような

美味しいお菓子を作って振る舞う前の人足先にいただく味見のような

何かを育んでいる時

その成長を見届けられた時に

空の色は、何色でもいい気がしてくる

だから、刺繍日和は人生も空もくもりの日に

少し急ぐのをやめて、カーディガンを羽織り
日々を温めながらゆっくり過ごす


akaiki×shiroimi




刺繍日和 日記



文章を書くことも、絵を描くことも
心のコンディションが落ちてしまうと出来なくなってしまうもの

梅雨は、少し心も曇り気味になりがちに

コルク栓が抜けないワインの栓をなんとかこじ開けようとするように
無理矢理に文章を絞り出すことをやめ

気分を変えようと、ハンカチを作ることにしました


家にストックしてあったお気に入りのリバティの生地に
自分で図案を考えて刺繍を入れて

私は、チェーンステッチが好きなので
全てチェーンステッチで糸の数を調節しながら作っています
(大体、2本どりか1本どり)

リバティの柄に合わせたオレンジの刺繍図案


こうして自分で考えて刺繍の図案を作るたびに思うのは
絵を描くことと、図案を作ることは少し勝手が違い
結構、難しいなと言うこと

きっと、バックステッチやアウトラインステッチを使えば滑らかに仕上がるのだろうけど…
どうしても、チェーンステッチへのこだわりが捨てられないんですね


いつだったか、どこで聞いたのかも忘れてしまったのですが
水木しげるさんが

絵を描くと言うことは、それ以外にも何かを持つことだと言うようなニュアンスの事を言っていたのを聞いた気がします
(※かなり古い記憶なので、あっているかはわかりませんが…
もし、知っている方がいたら教えてください)

私は制作活動をする上で、いつもこの言葉が無識に心の中にある気がします


それが、なんとく私にとっては森だったり
刺繍だったり、編み物だったり

そんな気がするからなんでしょうね


時に、人生も制作もうまくいかない時がある

でも、そんな時こそ小さなことを積み上げたり
人生をゆっくり見直したりして
心に栄養を与えながら少しづつ進むことを大切にしています


刺繍日和、くもりの時こそちくちくと



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