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「お母さん鯉」はどこへ?

鯉の”タワー”のぼり

333メートルの東京タワーに、333匹の鯉のぼり。ゴールデンウィーウ恒例のイベントを見に行ってみたら・・・これが、壮観!すごくいい。単なるお子様イベントではなかった。

ところで、「鯉のぼり」。英語では、carp streamer。
では、中国語では?

鲤鱼旗(lǐyúqí=リー・ユィー・チー)

・・と、言うらしい。そうか、幟は「旗」なのか。

撮影 AJ

そもそも鯉のぼりとは。

鯉が滝を登り切り、「龍門」をくぐると龍になったという中国古来の言い伝え

「鲤鱼跳龙门 (lǐyú tiào lóngmén)
=リーユィー・テャオ・ロォンメン)


・・から来ているという。(”登竜門”という言葉の由来)
立派になって立身出世してほしい、という親の子供への期待が込められている。

撮影 AJ

童謡「こいのぼり」 お母さんはどこへ?


ところで、鯉のぼりといえば、童謡「こいのぼり」。歌を思い出して口ずさんでみたら、これまで気にも留めてなかったことに気がついた。

🎵 やねよりたかい こいのぼり
おおきい まごいは おとうさん
ちいさい ひごいは  こどもたち
おもしろそうに およいでる

あれっ?「お母さん」は出てこないのか!?

てっきり、まごい(真鯉)は父、ひごい(緋鯉)は母、そして子供たち。つまり、一家揃って仲良く空を泳いでいるとばかり思っていた。
元々は”男の子の節句”だったことも知ってはいたけれど、童謡からお母さんが除外されていたとは知らなかった。

気になってネットで調べてみると、この疑問についての情報がいっぱい。
どれも同じようなことが書いてある。「アルアル」の疑問だったのか。
まとめると大体次のようなことだった。

*戦前に書かれた歌詞で、家父長制度と関係あり、父と息子しか出てこない。
*もともと緋鯉(緋色≒赤っぽい色)は母ではなく、長男。

*「おかあさん」を2番に入れたバージョンがあるという説もあるが、 
 正式には1番の繰り返し。

*ただ、時代とともに家族の価値観が変わってきて、鯉のぼり自体は
今ではお父さん、お母さん、子どもたち、ということになっている。

なるほど。そうだったのか。
ちなみに、「こいのぼり」の童謡は、もうひとつ、「甍の波と、雲の波〜♪」もある。こちらも歌詞を見れば、三番は、

🎵百瀬(ももせ)の滝を登りなば、
忽(たちま)ち竜になりぬべき、
わが身に似よや男子(おのこご)と、
空に躍(おど)るや鯉のぼり

鯉のぼりが「私のように強くなれ、男子よ!」と言っているみたいだと言う歌詞。

今回は、鯉のぼりイベントひとつから、色々知った。

今世界に目を転じると、”マッチョな”潮流が各地で起きているのを確かに感じるけれど、やっぱり多様性の時代。きっと鯉のぼりも、色んな解釈でそれぞれ楽しめばよいのだろう。

この333匹の鯉たち。1匹だけ鯉ならぬ「さんま」も加わって、8(日)まで、東京タワーの下を”面白そうに”泳いでいる。



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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
AJ 😀




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