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「日本の畳、ノルウェーの柔道家」 ・・・アフガニスタンで、支援のあり方を考えさせられた

アフガンのチビッコ柔道家に贈られたのは?


2004年、アフガニスタンの首都カブールで、あるセレモニーを取材するよう依頼された。柔道を学ぶ現地の子供たちに、日本から贈り物が届けられ、その記念セレモニーだという。

臨席した日本大使や現地の要人、そしてプレゼントを贈られる現地の子供たちの前に積まれていたものは・・・

柔道用の畳と、スコアボード、柔道着・・・が、たくさん


段ボールには、「From the People of Japan(日本の国民から)」の英語と現地語(ダリ語)の表記。

それにしても、柔道着を着た子供たちがずらりと並んでいて壮観だ。カブールで柔道をやる子供達がこんなに多いなんて、驚いた!

大使などの挨拶が終わり、これから、子供たちのデモンストレーションが始まるという。私にとっては挨拶などより、断然、こっちだ。

白い柔道着に身を包んだ子供たち。アフガンには様々な民族がいるが、皆柔道着がすごく似合っていて、かっこいい!


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さあ、始まったぞ!・・・
真剣に日頃の技の稽古の成果を披露する子供たち。

そして子供たちを見つめている人がいる・・・

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おや?白人・・・

先生はノルウェーの柔道家だった!


聞くところによると、ノルウェーの大使が柔道家であることがきっかけで、自国から柔道家を呼んで、子供たちを教えるようになったのだという。

私が一番印象に残ったのは、その先生と子供たちの雰囲気。皆、先生を心から尊敬、信頼しているという空気に包まれていた。そして、子供たちの親御さんたち。
これまた、子供たちを預けた先生を信頼仕切っているのが伝わってくるようだったのだ。

皆礼儀正しく、そして楽しそうで・・・自分が子供だったら通いたいし、親なら子供を通わせたいと思った。そんな空間だった。

私はその時、思った。

確かに、畳はピカピカで、いぐさの香りがした。子供達が袖を通した新品の柔道着は、真っ白だ。そしてスコアボードは・・・これは、よくわからないが・・


子供たちは、将来「日本が畳をくれたんだ!」と喜んでくれるだろうか?    わからない。

でも、この子供たちは、先生を慕い、武道を通してスポーツ以上のものも学び、先生の国ノルウェーに興味を持つかもしれない。そして、親たちも・・・


援助は見返りや効果を期待するためにするべきではないが、それにしても、人材を一人送るだけで、とてつもない効果”も”生まれるだろう。そして何よりも、現地の人に喜ばれている。

もちろんピカピカの畳もスコアボードも、素晴らしい援助だと思う。

しかし、そもそも本家本元の日本から、柔道家一人を送れていたら、どんなに違ってただろう、と思った。

やっぱり、支援は「人」だ、と思ったのは、この時だ。


・・・最後までお読みいただき、ありがとうございました。AJ 😀

🌟きょうのワード   judoka 🌟

judokaは、言うまでもなく「柔道家」のこと。
英語ではもう一般的な単語になっていて、ニュースの原稿などでも、
そのまま何の説明もなくjudokaと使われることが、よくあります。

🌟マガジン「嗚呼、アフガニスタン」も、ぜひ!🌟


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