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短編小説等まとめ

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自作短編小説及びその他創作文章のまとめです。
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#ショートショートnote杯

『しゃべるピアノ』(ショートショートnote杯)

「なあ知ってるか? 最近のピアノはしゃべるらしいぞ」  その日、空にかかった曇天に気がめ…

たけのこ
2年前
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初めての感想文(ショートショートnote杯)

「おお、すごくいいじゃないか」  職員室では若い先生が生徒の読書感想文を読んでいた。生徒…

たけのこ
2年前
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君に贈る読書(ショートショートnote杯)

「とにかく今すぐこの本を返品させてくれ!」  男は店に入ってくるなりそう叫んだ。ここは有…

たけのこ
2年前
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インドのおっちょこちょい(ショートショートnote杯)

「どうしても食べたいというのか?」 「ええ、どうしても食べてみたいんです!」 「食べるため…

たけのこ
2年前
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小さな小さなの意外な使い方(ショートショートnote杯)

「小さな小さなうちの可愛い子供たち! 早くご飯を食べにいらっしゃい」  2階に向けてそう…

たけのこ
2年前
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貯金箱女子(ショートショートnote杯)

 『死の冬』の話かい。それはそれはヒドイ時期だったよ。一発の核爆弾からはじまったあの戦争…

たけのこ
2年前
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一億円のマッチ(ショートショートnote杯)

「てめぇわかってんのか? お前が火をつけようとしてるそのブツは末端価格で1億はくだらねぇんだぞ! つまり今、握っているそのマッチの値段は1億だってことだ。そいつに火をつけちまおうなんて、よもやお前にそんな度胸ねぇよな?」  フチのないメガネをかけた男はドスを効かせる。しかしメガネ男の罵声に若い男は動じる様子はない。大きく一回ため息をついたかと思うと、持っていたマッチをこともなげにスーツケースに放りこんだ。 「――なにしやがんだてめぇ! 言っただろ! 1億だぞ1億! お前みたい

リストラ笛(ショートショートnote杯)

「いやーほんと困ったもんですよ。なにぶん突然のことでしたから」  そう言いながらやたらと…

たけのこ
2年前
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だんだん高くなる鬼(ショートショートnote杯)

 あるところに迷子の少年がいました。少年が困り果てて泣いていたとき、山のように大きい鬼が…

たけのこ
2年前
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恥ずかしがり屋の涙(ショートショートnote杯)

 昔々、ある村にそれは大層な恥ずかしがり屋がいました。恥ずかしがり屋は恥ずかしいことがあ…

たけのこ
2年前
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助手席の大掃除(ショートショートnote杯・その他)

「アニキ! 来てください! 車の掃除してたら助手席からヤベェもんが出てきたんです!」  …

たけのこ
2年前
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『君に贈る火星の』(ショートショートnote杯)

 やあ。やっとひと段落したね。こうして落ち着いて書簡のやりとりができるというのは存外に嬉…

たけのこ
2年前
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『金持ちジュリエット』(ショートショートnote杯)

「ダメッ全然ダメ! クビにして!」  ディレクターズチェアにふんぞり返り、キンキンした声…

たけのこ
2年前
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『空飛ぶストレート』(ショートショートnote杯)

「さすがにこれは厳しいんじゃないですかねぇ」  集まった老人たちはゲームの行方を眺めながら談笑している。 「確かに難しいのぅ。ゴールにまっすぐに転がすにはあの玉が邪魔になる。カーブをかけて横から狙うのも手じゃが、その後の立ち上がりがあまり良くない……。素直に相手の球にぶつけてはじき出して終わりかのう」 「それが無難ですよねぇ」 「お前さんたちはヤスさんのことをまだわかっとらんな。ああいう状況でこそ燃えるのがヤスさんじゃわい」 「そうは言ってもこの状況ではな……。急がば回れと言