見出し画像

『君に贈る火星の』(ショートショートnote杯)

 やあ。やっとひと段落したね。こうして落ち着いて書簡のやりとりができるというのは存外に嬉しいものだよ。終わってみれば大した手間ではなかったとはいえ、一族総出で移動するのはそれなりに労力がいるものだからね。
 思えば君とこうして作戦行動をとるのはいつぶりになるだろうか。そうだ、たしか第五銀河系の十六惑星を攻めたとき以来になるのかな。あの時は今回と違って手ごわかったね。
 さて今回、特に頑張ってくれた君と君の一族にはこちらの赤い星「火星」の領土と資源をそのままあげようと思っている。なに、遠慮する必要はない。なにせ私と私の一族はこちらの青い星「地球」をもらうのだから。住み心地はまあまあなのではないかと思うよ。
 ――ああ、ひとつだけ忠告を。そちらの星にもまだ「人間」という名の小さくてひょろっとした原生生物がところどころに隠れているようなんだ。とはいえ簡単に退治できるから安心して煮るなり焼くなり好きにしてくれたまえ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

他のショートショートnote杯用の作品はマガジンにあります!
関係ないショートショートも沢山ありますので、お気に召しましたらのぞいてやってください。

#ショートショートnote杯 #ショートショート #小説 #君に贈る火星の #掌編小説

「欲しいものリスト」に眠っている本を買いたいです!(*´ω`*)