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一億円のマッチ(ショートショートnote杯)

「てめぇわかってんのか? お前が火をつけようとしてるそのブツは末端価格で1億はくだらねぇんだぞ! つまり今、握っているそのマッチの値段は1億だってことだ。そいつに火をつけちまおうなんて、よもやお前にそんな度胸ねぇよな?」
 フチのないメガネをかけた男はドスを効かせる。しかしメガネ男の罵声に若い男は動じる様子はない。大きく一回ため息をついたかと思うと、持っていたマッチをこともなげにスーツケースに放りこんだ。
「――なにしやがんだてめぇ! 言っただろ! 1億だぞ1億! お前みたいなクズには死ぬまで働いても稼げねぇ金なんだぞ!」
 メガネ男は泣き叫んだ。しかし若い方の男はひょうひょうとしたまま答えた。
「いやホントそれですよ。現実味ないんですよ1億とか言われても。むしろガチャ100回分で30万とかの金額だったら躊躇したのかも……」
 これが新世代ってやつか……そんなことを考えながらショックのあまりメガネの男は意識を失った。


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今日のお題は「一億円の」✖️「マッチ」でしたが大変難しかったです(笑
というのも公式のお題で「一億円の低カロリー」というものが出ていたのが大きいですよね。お題だけならどう考えてもあちらの方が楽しいですからね。

そんなわけでオチとかネタとかいうよりはシチュエーションを切り取ってみました。せめてもう少し文字数があれば、オチっぽく格好つけるのに……ぐぬぬ。

次は「貯金箱」と「女子」です!


#ショートショートnote杯 #ショートショート #一億円 #マッチ #小説

「欲しいものリスト」に眠っている本を買いたいです!(*´ω`*)