見出し画像

恥ずかしがり屋の涙(ショートショートnote杯)

 昔々、ある村にそれは大層な恥ずかしがり屋がいました。恥ずかしがり屋は恥ずかしいことがあるとすぐに泣きだしてしまうため、周りの大人はなるべく関わらないようにしていました。
 しかしある日、村の子供たちが「恥ずかしがり屋をからかいに行こう」と、恥ずかしがり屋のところに集まってきたのです。もちろん子供なので大したことを言えるわけではありません。それでも恥ずかしがり屋にとっては天から落っこちたような恥ずかしさでした。
 恥ずかしがり屋は滝のように涙を流しました。十月十日の間、恥ずかしがり屋は泣きつづけ、村は涙のなかに沈んでしまいましたが、それでも涙は止まりません。川になり、海に流れ、そのうちにワームホールを通り次元も場所も時間も超えました。そしてある星のある園にたどり着き一本の木に潤いをもたらします。
 その木こそがアダムとイブが食べたというあのリンゴの木であるというのがこの地方古来からの言い伝えなのです。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

というわけで、ショートショートnote杯の「その他」枠です。『ショートショートnote』で出てきたカードは『恥ずかしがり屋の』×『涙』。

これも比較的そのままっぽいお題になってしまって苦心いたしました。最初は、「恥ずかしがり屋は恥ずかしいと泣く」→「実は恥ずかしくて泣いているのではなかった」という路線で考えていたのですがとん挫いたしまして(笑 結局、不条理的なこんなオチ方にしてみました。

一応、出たカードを順番にやっていくつもりなので、だいぶ無理やりオチが続くこともあると思いますが、楽しんでもらえたら幸いです。

#ショートショートnote杯 #ショートショート #小説 #掌編小説
#昔話 #恥ずかしがり屋の涙 #その他

「欲しいものリスト」に眠っている本を買いたいです!(*´ω`*)