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不安になるのはぼくで、不安をあおるのも

明るいのが、一層だめになっていた。


のが、昨日。


目を覚まして、なんの夢を見ていたのかも忘れて、どこから来るのかわからない、今にも暴れ出しそうな不安を、必死にこらえていた。


わかっていたのは、明るいのがだめだ、ということだけ。


明るいのは、もともと苦手で。


なぜか最近は、よりだめになっていて。


昨日は、とどめを刺すように、だめだった。


いつもなら、カーテンを閉めきってさえいれば、それなりに平気なのに。


「薄暗い」と「薄明るい」の間の部屋で、ぼくは怖がっていた。


なにに怖がっているのかは、わからない。


ただ、怖いという感情だけがある。


耳鼻科に行って、図書館に行って、銀行に行って。


立てていた予定は、後日でもいいものばかりだから、そうしてしまおうか。


でも、次の日のぼくが、さらに次の日のぼくも、もっとだめになっていたら、どうしよう。


体が痛い。


目まいがする。


起きて早々、またしばらく横になった。


また起き上がれそうだ、と思うまで、そこまで時間はかからなかったけど。


とりあえず、家でもできること。


珈琲豆の焙煎を、一回分済ませる。


作業に集中したおかげか、気分は少し楽になっていた。


時間を確かめると、午後の開院時間まで、1時間以上余裕があった。


受診する前に、振込も本の返却もできる。


今かもしれない、と思って、念のため用意しておいたものを携え、出かけた。


曇りなのが、ありがたかった。


いつも通り、診察自体は5分で済むけど、それまで1時間以上待った。


kindleで漫画を流し読みしながら。


本は読めなかった。


文字が頭に入ってこないから。


ようやく帰れると思っても、たしかに帰り道を辿っているのに、自分にはそれが、よくわからなかった。


ひどく眠いのと、疲れているのだけわかった。


横になっても、なかなか眠れなかった。


昼から夕方へ、室内が翳っていくのを観察するだけだった。


暗くなってくれてよかった、と思った。


うとうとしながら、それでも疲れは軽くなったのか、体を起こしたくなった。眠気は、変わらず重いまま。


カーテンは閉じたまま、内側に入り込み、窓だけ開ける。


空気が冷たい。


すぐに室内に戻って、ニューウォーターをあおった。


その日は、4本も空けていた。いつもより多い。


あまり食べないくせに、水分ばかり摂っているから、血圧が低いんだろうか。


なんでもいいか。


早く、この日が終わってくれれば。


でも、そうすれば、また朝になる。


明るくなる。


どうすればいい。


不安になるのはぼくで、不安をあおるのもぼくだった。

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