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逆行も順行も、しないだろうから

6月だけ、時間の流れが、おかしかったような気がする。


と、思った。


1ヶ月前、ぼくは尾道にいた。


のだけど、あれは本当に、たかだか1ヶ月前のことなんだろうか。


とか。


珈琲屋の準備を始めたのは、その、尾道に帰ってから。


まだ、1ヶ月しか経っていないんだっけ。


とか。


目まぐるしい日々を送れば、時間は、あっという間に過ぎていくはずなのに。


ずいぶん、時間の流れが、遅いように感じた。


珈琲豆が、思うように焼けなくなったのも、6月の頭だったっけ。


それは、湿度がひどくなったせいだけど。


何度もべたついて、何度も洗い流した肌。


人に会いたくなったり、怖くなったり、それが、24時間の中で、数えきれないほどくり返されたり。


そういえば、6月も、あまり短歌賞に着手できなかった。


まったくではないにせよ、数もあまりできていない。


ぼくは、なにもできていないんじゃないか。


先日、出店用の折り畳みテーブルが届いた。


そのままでは味気ないから、手芸店の、布の切り売りを見てきた。


珈琲屋のコンセプトに合いそうなものを、2枚選んだ。


狭いアパートの室内でテーブルを組み立て、テーブルクロスでもない、本来手芸材料であるはずの大判の布をかける。


それらしくなった、そのスペースに、少しだけ、安心を覚えた。


ぼくは店舗を持たないから、ここが、ぼくの店になる。


基本的に目立たず、地味に、地道に。


そういう意味では、周りの珈琲屋から、浮くかなあ。


でも、別にいい。


どこまでも本格的な珈琲屋もいいけど。


それは、他の人がやってくれているから。


(ぼく自身は、知識も技術も身に付けていくつもりでいるけど。)


ここを訪れる誰かが、安心できるような、そんな店に。


まあ、そんな夢を語っていても、不安なものは不安だし、眠れないときは眠れないのだけど。


ぼくは、どんな風になっても、安心できないらしい。


いつものことだけど、6月は特に、なかなか安心できない月だったように思う。


来月は、さらに安心できなくなりそう。7月から、いよいよ珈琲屋を始める予定だから。


どうなるんだろう。


店もだけど、ぼく自身が。


次々に変わっていく、目の前に、付いていけるのかな。


まあ、ぼくのスピードに合わせてしか、店もできないから、大丈夫かな。


どうか。


7月は、身も心も安定、は、しないんだろうけど。それなりに動くことができたら、と思う。

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