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始終眠たくても、それなりに

VAPEを吸って、吐いて、いくらでも蒸気が出る、と思ったら、息が白くなっているだけだった。


寒い。


昨日も、体は冷えるし、頭は締め付けられるようだし、眠気はしがみついて離れなかった。


雨が降っていれば、もしくは強風だったら、明るい内から、珈琲豆の焙煎をしてもいい、と決めている。


煙を、風が流してくれるのだし。こんな日に、ベランダに洗濯物を干す人は、あまりいないのだし。


焙煎を終え、豆を冷ましていると、炊飯器が鳴る。


珍しく、丁寧に昼食を作った。本当に、珍しく。


ささみに切り込みを入れて、チーズを挟んで、フライにした。あとは、味噌汁とか、漬物とか。


パートナーは、チーズが苦手なので、一人のときくらいしか作らない献立。


食後、その日中に返却しないといけないDVDに、手を付ける。5分程の、短篇アニメーション集。が、DVDに傷があったのか、第1話だけ映像がとんで、最後まで見れず。


それから、あまり覚えていないけど、眠気に限界が来たのだろう。ぼくは、眠ってしまっていた。気付けば、夕方になっていた。


その日中に返却しないといけないのは、DVDだけじゃなかった。図書館へ行かないといけない。


夕方までいることはあっても、夕方に訪れるのははじめてだった。働かなくなってからは。


本を5冊返して、5冊借りた。荷を軽くして帰るつもりだったのだけど。いつものこと。


帰りのバスまで、まだ時間があったので、絵本コーナーの近くのソファに座った。


目と鼻の先にある棚には、「作者名:あ~い」の絵本が詰まっている。いわむらかずおの『14ひきのひっこし』と『14ひきのあさごはん』を読む。

大きな木の根っこに住んでいる彼らを見ていると、ふと思い出して、佐藤さとるの『おおきなきがほしい』を取ってくる。

夢中になっていると、あと少しで乗り遅れるところだった。


時間帯もあり、車内は混んでいた。目に見える人達は俯いて、スマホを覗き込んでいる。ぼくは立っていたので、座っている人達のそれは、否が応でも目に入ってくる。


この人達も、子どものころに、俯いて読んでいたのは、絵本だっただろうか、と思う。ぼくと同じ世代、もしくは上の世代は、そうだったろうけど。


いずれ、絵本を読んだことはなく、タブレットで幼児向けの動画なら観ていた、という人が、増えていくんだろうか。


それは、少し寂しい気がした。


まだ、頭が痛んでいた。借りた本を詰めたリュックのストラップが、肩に食い込んで。


そのときのぼくはもう、眠ることばかり考えていた。

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