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たすけて、が、ずっと、うるさくて

たすけて。


床に就いて。


眠ろうと、まぶたを閉じようとして。


眠れないから、目を開けて。


パートナーは、先に眠ってしまって。


ずっと、頭の中で叫んでいる。


たすけて、って。


いつからだっけ。


いつから、こんなにうるさいんだっけ。


もしくは、眠る前じゃなくても。


眠る前以外なら、いつだ?


気付けば、眠っている。


頭の中にも、喉というものがあるかもしれない。


喉が嗄れたから、疲れて、眠って。


薬は、ちゃんと飲んでいる。


睡眠薬も、就寝前の抗不安薬も。


薬が、効かなくなった?


いや、そんなことはない。と思う。


もしくは、ただただ暑いから、体が疲れているだけなのか。


でも、それで、たすけて、って、ずっとうるさいのか。


たすけて、の声は、ぼくの声だ。


他の、だれでもない。


他のだれかなら、よかったのかな。


つらいな。


くるしいな。


そういえば、今までは、どうしても眠れなかったら、布団から這い出ていたけど。


そうしなくなったのは、やっぱり、眠れそうな予感があるからだ。


たすけて、で、どんなにうるさくても。


けれど、眠れないのなら、そのときは、眠るべきじゃないんだろうか。


わからない。


なにも。


眠るべきじゃなくても、眠りたいときに、読書はできない。少なくとも、ぼくは。


(そもそも、読書中は、頭の中で音読しているぼくだから、たすけて、で、うるさくては、読書にならないだろう。)


じゃあ、たすけて、を、かき消すくらい、音楽を聴き込むのは。


余計、眠れなくなりそうだ。


(ぼくの神さまであるところの、女王蜂のアヴちゃんは、少し前から、調子を崩して休養している。音楽を聴くことが、なによりの応援になるとわかっていても、つらくなって、なかなか聴けないでいる。)


灯りは、点けたくない。


当然だ。日中でさえ、必要最低限しか、点けていないんだから。


明るすぎるのは、好きじゃない。


ああ、だから、夏も好きじゃないのかな。


ようやく、眠れるようになったと、思っていたのに。


また、布団の中は、ぼくにとって、緊張する場になってしまったのか。


眠らないといけない、という。


たすけて、って、なにからだろう。


自分の声なのに、なんでわからないんだろう。


ぼくは、なにが怖いんだろう。


……。


心当たりがたくさんあって、逆に、わからないな。


心当たりなんて、ない方がいいのにな。


ぼくは悪者で、愚か者で、不孝者で。


だれかにとっては。


……。


ぼくは、日がな一日、音楽を聴いている。


自分の声を聞こえなくするためなのかな、と思った。

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