さわがしい夢ばかり見る。
まるで眠った気にならないような。
その上、決まって嫌な終わり方をするし。
眠りたくない。
でも、生きものは眠らないといけない。
眠りたくないぼくは、いつでも眠い。
アルネは、ぼくの顔を覗き込んで、少し呆れた風だった。
ぼくにしか見えない、ぼくだけの女の子。
挽きたての、珈琲豆の薫り。
あたたまった牛乳の甘さ。
それはたしかに、ぼくが今、この朝の中にいる証明のようだった。
どうしても、夢を見てしまうのなら。
せめて、早く忘れられるように。
後ろ向きな願いだけど。
ぼくは、いつも祈っている。