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単純で、月並みではあると思うけど、

昨日は、珈琲屋になった。


ぼくは、ときどき珈琲屋になる。


もちろん、もろもろの許可を取っているので、いつでも珈琲屋であることに変わりはないのだけど。まだ、「ときどき」の頻度でしか、人前では淹れないから。


友人が個展をするので、そこで珈琲を淹れないかと誘われた。


彼の写真が好きなこともあるし、そうやって声がかかるのも、うれしいことだった。


友人の知人がたくさん来る中、共通の知人も来てくれたので、少し安心した。


どこの出店でもそうだけど、ふいに暇になる時間と、急に忙しくなる時間がある。


ぼくは、1杯ずつしか淹れられないので、時間もかかる。(2杯同時に淹れることも、出来なくはないけど、あくせくするので、その分味に自信がなくなる。)


幸い、そこがギャラリーなので、待ってもらっている間は、観賞してもらえばいいので、今回は、場にずいぶん助けてもらった。


知らない人と知らない人の会話が、ふとしたきっかけで発生したり、そんな瞬間を横目で眺めるのが、楽しかったりした。


一方ぼくは、注文が立て込んでいるときは、あまり周りを気にすることができない。


ので、気付かない内に粗相があったら大変だ、とは思うことはあったけど。


とにかく、目の前の一杯に集中することが肝心だ、と言い聞かせた。


一度にたくさん注文を受けると、焦るのは焦るけど。それはまだ、場数を踏んでいないのでしょうがない。


終了時刻が近くなると、客足もふっと途絶え、夢を見ていたように静かになった。


また、ただのレンタルスペースに戻った様を見て、人と空間の不可思議さを、ぼんやり思った。


友人に淹れてもらった珈琲を片手に(友人は珈琲屋じゃないけど淹れる)少し話してから、その日は解散した。


その場で決まったけど、最終日も淹れることになった。ので、今日は追加で豆を焼く。


終わったあとのぼくは、ずいぶん疲れていたけど、同時に元気でもあった。いいとはいいがたい状態ではあったけど。


今回は、お客さんに「おいしい」と言ってもらえることが多かった。


世辞もあったかもしれないにせよ、以前より味がよくなっている、と感想をいただくことも、何回かあった。


同じ味を再現できるかしら、と不安もありつつも、褒められたことが、単純にうれしかった。


まずは、目の前の、これから焼く豆に集中しようと思う。

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