不安定なぼくと、水を見ること
そうかもしれない、と思った。
思ったそのときのぼくは、電車にいた。
その、少し前までは、海がよく見えるカフェにいた。
電車とか、自転車を使って、1時間以上かけて行くところ。
(ぼくは、車を持っていないから。)
友人の店、ということもあるけど。
ぼくは、わざわざここまで来て(と、言われることがある)本を読むのが好きだった。
いつでも行きたいくらいに。
近ごろのぼく、近々引っ越しするぼくは、気が滅入ってばかりだ。
引っ越し自体、嫌なわけじゃない。
(転職とか、せざるをえない状況じゃないから、今の住まいに納得しているなら、引っ越さなくていいのだし。)
ただ、引っ越しまで、あと1ヶ月半。
ほんの少し前までは、「あと2ヶ月」だった。
余裕をもって荷造りしているし、色んな手続きも進めているのに。
生活の匂いがするところと、しないところが両方ある、なんと言えばいいのか、半端なこの空間にいるのが、息苦しいらしかった。
じゃあ、半端じゃなくすればいい、と思って、日用品以外は早めに段ボール箱につめて。まだ、全部つめきれていないのだけど。
焦らなくてもいいのに、ぼくはなぜか焦っていた。
今まさに、これを書きながら、考えていた。
おそらくは、今のこの場所は、ぼくにとってはもう、安心できる場所じゃないんだ。
荷造りしていくことで、それが完了するまで、室内の見た目は変わっていくのだし。
これから住む家と、住まなくなる家で、2つも家があるようなものだし。
不安定で、不安になる状況なんだ。ぼくにとって。
しょうがないこととはいえ、頭も体も、休んでいるようで、休めていないも同然だった。
それで、水を見に行った。水というか、海というか。
水場は安心する。海は特に。水平線以外は、なにもないから。
最近は、本を開いても、目が文字を追うばかりだったけど、昨日は集中できた。
帰ってきたころには、それなりに疲れていたけど、頭の中までシャワーを浴びたような心持ちになっていた。
週に1回は通いたいな。むずかしいけど。そう思った。
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