とても寒かった。
もしくは、あたたかかった。
それすらあいまいな、夢を見た。
もう、覚えていない。
夢を見ない夜はなく、でも、すぐに忘れることが増えた。
見ても見なくても、覚えていてもいなくても、ぼくは疲れるだけなのだけど。
呆れたように、アルネが小さな肩をすくめる。
ぼくにしか見えない、ぼくだけの女の子。
立ち上がると、目の前が少し暗くなって、また明るくなった。
よくないな、と思う。
ミルクパンに、残りわずかな牛乳を注ぐ。
じっくりあたたまっていくそれの湯気を嗅ぐ。
少しは、楽になるかな。
そう言っているそばから、意識を手放しそうな自分がいる。
アルネが、ぼくの手からぼくのカップをはがす。
まあ、そうか、たまには、いいか。
ぼくは、自分が寝室に辿り着いたのかどうか、わからないまま、眠りに落ちた。