また、不眠の日々?
ここしばらく、朦朧としている。
睡眠薬も、抗不安薬もあるのに。
動悸がして。
眠れなくて。
眠たいことに、違いはない。
でも、寝つけない。
ふと、朝方に、眠れていたことがある。
そんなとき、ものすごくうれしくなる。
頭は、朦朧としたままなのに。
ぼくはよく、「ぼんやりしている」を使うけど。
「朦朧としている」の方が、近くなってしまって。
横になって、しばらく目を閉じて、眠れなくて、でも、起き上がれる瞬間があって、そのとき出来ることをする。
そしてまた、なにも出来ないほどに、朦朧とする。横になる。目を閉じる。眠れない。
諦めたぼくは、そういえば、と思って、友人に本を返しに行った。
バスに乗って、電車に乗って、徒歩のときもあって、1時間半くらい。
目的地は珈琲屋だから、アポなしでも大丈夫。
店員である友人達は、どこか疲れた顔。
天候のせいかと思ったけど、それだけではなく、これからより忙しくなるかららしい。
うれしいことではあるけど、とついでのように付け加えていた。
本心ではあるけど、同時に本心ではないんだろう、と思った。
ぼくは、アイスカフェオレを注文して、読みかけの本を開いた。
途中で、最終章に入り、寂しさのようなものを感じた。
寂しさ「のようなもの」。
寂しさに近くて、寂しさではない何か。
海辺のそこは、本に入り込める場所として、目の前に海原=何もない空間が広がっている場所として、とても好きだった。だから、それなりの時間をかけても、定期的に通っている。
悪いことが続いていたぼくにとって、いつものことではあるけど、いつも以上に、気分が晴れた。
友人達にお礼を伝え(豆をおすそわけしてもらったりもした。)店を後にした。
明るい内に帰ると決めていた。最近、ぐったりしているぼくも、何かしたいと思って。
また1時間半かけて、自宅へ戻る。
住み処としては気に入っているけど、忌み嫌っている大家が目と鼻の先にいる、ぼくの、というか、ぼくらの家。
今するべきこと……。
珈琲屋のことでなければ、もの書きのことでもなく、夕食の準備だった。その日は、パートナーが早めに帰るシフトの日だった。
ある程度仕込みを終えてから、夕食後、すぐに珈琲を淹れられるように、ドリップ器具の用意をしておいた。
友人達からもらった珈琲豆を、パートナーと共有するために。
今日はいい日だったな、としばらくぶりに思えた。
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