「それが、ぼくの不安を煽るのだった」
ずっと、なにかをしていた。
目を覚ましてから、ずっと。
何時か忘れたけど、手を休めてみた。
体がばらばらになりそうだった。
口角は、がんばれば上がる。
鼻から上は、どうしようもないみたいだった。
いつにもまして、目がしんでいる。
無理矢理にでも、笑えないことがわかった。
おばあちゃん。
おばあちゃんが亡くなったことを、ぼくはまだ、引きずっているみたいだった。
ぼくは、ぼくが思うより、薄情じゃないんだろうか。
(これだけで判断するのも、おかしな話だけど。)
通夜にも葬儀にも、行かないぼくでも。
(ぼくを生んだ人達とは、二度と会わないと決めているから。)
おばあちゃんは、認知症ではあったけど、大きな病気はなかった。はず。最後に会ったのが、もう何年も前だけど。
どうか、苦しくない最期だったなら。
ぼくみたいなのを偽善者っていうのか、と他人事のように思う。
図書館に、本を返さないといけない。と思い、自転車を走らせた。
図書館にいると、よくあることだけど、手足から力が抜ける感覚に陥ることがある。
手も、いつもより震える。
自律神経失調症の症状。らしい。
頓服を飲んでも、震えが治まらないのは知っている。
気休めだ。
VAPEをくり返し吸う。
これも気休め。
引っ越し前で、ただでさえ数ヶ月前から、ぼくの頭はおかしくなりそうだったのに。
(引っ越しが、あんなにぼくを壊すものだとは知らなかった。)
おばあちゃんの訃報が、もっと早ければ、ぼくは完全におかしくなったのかもしれない。
ただでさえ、悲しいのか、そうじゃないのか、自分でもわからなくなってきているのに。
色んな感情がぐしゃぐしゃに混ざった結果、すべて流れ出ていったみたいだった。
そういえば、食欲がない。
今、体力が減るのは困るから、無理にでも口につめ込んではいるけど。
引っ越し前だからしょうがないとはいえ、なにも生めない日々だ。
一応書いてはいるけど、日記も、あと日課の短歌も、書こうとすると、頭の動きが停止するみたいになる。
だから、動き始めるのを待つ。まっ白のPCモニター、もしくはノートを開いたまま。
壊れたら、完全に治る保証はまったくない。
(現に、何年も前に壊れたところは、治りきっていないと思う。)
状況が落ち着いたところで、ぼくは生きていけるのかな。
結局、そのときにならないと、わからない。
それが、ぼくの不安を煽るのだった。
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