ゆきだるまつくろう（今朝は、カフェオレ）

かなり寒い日は、この一ヶ月でもあっただろうに。それでも、あたたかい方だったんじゃないかと。昨日からの冷え込みに思う。

――寒い。

――おはよう。

――アルネ。……おはよう。

――寝ぼすけさんは、今朝は寝ぼすけさんじゃないのね。

――寒いからね。

――寒いから、寝ぼすけさんになるんでしょう？

――まあ……。でも今朝は、なんだかすぐに起き上がりたくって。布団の中も寒いから、いち早くあたたかいものが飲みたい。

――ふうん。

――今朝は、何がいい？　できれば、冷たいもの以外で。

――カフェオレがいいわ。あたたかいのがいいけど、熱すぎるのは苦手。

――わかってるよ。

着る毛布にくるまって、ブランケットを肩にかけて。着ぶくれして不格好なぼくが、台所に立つ。


コーヒーのために沸かすお湯と、あたたまっていく牛乳から立ち上る湯気に、手をかざして。

――はい、どうぞ。

――ありがとう。……うん、丁度いい温度。

――よかった。……なんか、息を吹き返した気持ちがする。

――体、冷たいものね。

――どこもかしこも。……しばらく、降るみたい。今日も、明日も、明後日も。

――どうしよう。君が、冷えたままになってしまうわ。

――いやいや。まあ……なんとかするよ。今もほら、あたたかいし。

――外に出れないくらいかしら？

――外に出れなかったからね、昨日。

――雪だるまをつくる？

――吹雪いてるからなあ。……んん、小さいのなら。ベランダに積もった雪で。

――かわいいのがいいわ。

――目は、センリョウの実にしようか。

――口は？

――絵の具にしようか。口紅みたいでかわいいんじゃないかな。

――ええ。……ふふ。少し、外が楽しみになってきたわ。

――ベランダだけだけどね。雪だるま、広い場所でもつくれたら、楽しいだろうけど。

――雪が落ち着いたら、行けるかしら。

――そうだね。……まずは、小さいのをつくろうか。

――でも、

――？

――君、手ぶくろはあるの？

――ないよ。

――……。

――いや、大丈夫だよ。小さいのくらいなら。

――あとで、また飲もうかしら。

――カフェオレ？

――次は……また、考えるわ。

――わかった。……もう少し、天気が落ち着いたら、つくろうね。

冷めてしまったカフェオレをすすりながら、雪だるまの完成形を想像して、少し笑った。