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だから、結局、独白になる

また、やってしまった。と思った。


カフェインを摂りすぎた。


(ぼくの場合、珈琲2杯以上で「摂りすぎた」になる。)


朝、喫茶店に寄ったときは、煎茶を注文した。珈琲ほどではない(と思う)にしろ、カフェインが入っている。


その後、知り合いの珈琲屋を2軒訪ねた。


だから、つまり、ぼくは具合が悪くなった。精神の。


もう少し、配分を考えればよかった。

ぼくはよく人から「自閉症に見えない」と責められる。どういう意味なのかさっぱりわからない。
(中略)
ぼくらが普通とちがっていないとしたら、それは本当の自分を見せまいと闘っているから。

ダーラ・マカナルティ『自閉症のぼくは書くことで息をする 14歳、ナチュラリストの日記』p71より

その頁に差しかかったとき、いろいろ思い出すことが、ないわけじゃなかった。


「『自閉症に見えない』と責められる」は、ぼくもあった。


他ならぬ、ぼくを生んだ人達に。


ただ、「言われた」んじゃなく、「責められた」。


ぼくが、「自閉症に見えない」んだとしたら。


ダーラと同じだよ。


見えないように、しているからだよ。


特に、あんた達の前では。


見えるようにふるまったら、気持ち悪がられたから。


ぼくが言いたかったことを、言わせまいとするかのように、どんどん奪っていったくせに。


大人になってから、「なんで言わなかったの? 言えばよかったのに」。


言わせてくれなかったくせに。


許さなかったくせに。


ああ、だめだ。


水道水をグラスに汲んで、次から次へ飲む。


早く、カフェインを排出しないと。


カフェインが居座っているから、思い出さなくていいことまで、思い出して、ぼくを苛んで。


苦しい。


泣き出しそうだった。


泣き出してしまえば、楽になれるのに。


泣き出すまでが、苦しいから、なかなかそうならない。


ひとりになるのは、よくない気がした。


でも、誰かと上手く話せる自信もなかった。


匿名のメッセージアプリは、世の中にいくらでもあるけど。


ぼくは、使い慣れているツイッターでも、何年も前から交流のあるフォロワーさんでも、気軽に話しかけるのをためらう。


匿名なら、なおさらだ。


「苦しくなったら、いつでもここへ」とか、なんとかいう、アプリの広告。


匿名の世界でさえ、ぼくには息苦しい。


だから、結局、独白になる。


吐き出したから、少しは楽になれたかな。


ぼくにかかった呪いは、ぼくが笑っている間も、ぼくを蝕んでいる。

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