夜に眠れなくなり、朝に起きられなくなり、しばらく経つ。
日がな一日、ぼんやりしている。そのくり返しが、ぼくという人間を、よりぼんやりしたものに、しているようだった。
アルネは、ほんの少し肩を落として、俯いた。
ぼくにしか見えない、ぼくだけの女の子。
ミルクパンに、二人分の牛乳を注ぐ。膜が張らないように、そっと弱火にして、じっと見守る。
立ち上る甘い匂いに、また眠くなる。けれど、大丈夫。ぼくは、眠れない。
まだ、頭はぼんやりする。夢は怖いし、現実にも怖いことはたくさんある。
でも、この時間は。たしかに、あたたかなものだ。ぼくは、アルネの目の前で、手を合わせた。