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自分の場所になるには、まだ遥か彼方

引っ越した。


ようやく。


この「ようやく」は、2月の最後くらいから、ずっと準備を始めて、満を持して、という意味で。


環境が変わっていくから、なのか、ぼくはずっと不安定だったけど。


今は、アパートじゃなくて、新しい家にいる。借家に。


かなり小さいけど、一戸建てといえば一戸建てだ。住むのは、ずいぶんひさしぶりだな、と思う。


今日は立ち会いに行くけど、あの、何年も住んだアパートに戻ることはないと思うと、今さら、少しだけ寂しい。なにも思うことはないと思っていたけど。


昨日は、一日中荷物を運び出していたから、今も体がバラバラになりそうなくらい、疲れている。


正直、不安だらけの始まりだった。


いや、ぼくもパートナーも悪くないんだけど。


トイレが壊れていて(業者が来てくれたけど、部品がどうこうで、まだ直っていない。)インターホンも壊れていて、あと、エアコンを点けたら異音がして、(なにかが引っかかっている。)あと、他にも色々。


電球が切れていたり、とかは、自分達で対処できるけど、どうにも対処できないことの方が多い。


古い家だから、こういうものなのか、それにしても、ぼくらが住む前になんとかしてほしかったものだけど、今さらしょうがない。


全部大家さんに報告しないといけないけど、トイレの件もまだ終わっていないのに、なんか、クレーマーみたいで申し訳ないけど。でも、大家さんの仕事だと思って、割り切るしかない。ぼくらも。


それはさておき、昨日はよく眠れた。夜中に目を覚まさなかった。とても静かな夜だった。この辺りは、明るいときも静かだ。きっと、これからも。


まだ荷ほどきは終わっていないし、買い足さないといけないものも、たくさんあるけど。とにかく、新居には落ち着いた。


とりあえず、大家さんに相談しなければならない問題は、早めに解決してほしいところではあるけど。(トイレはもちろん、インターホンが鳴らないのも、だいぶ不便だと、昨日学んだ。)


ところで、階段を上がったところには、小さな窓があって。


たくさんではないけど、お墓が見える。


ぼくは、吉田篤弘の『おるもすと』を思い出していた。


具体的には思い出せないけど、ずいぶん高いところに家がある主人公が、下の方に見える墓の群れを数えるのが、日課であること。


あの本とは、きっと、景色がだいぶ違うだろうけど。


がんばるかと、ふと思った。

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