悲しくなったら、無性に悲しくなったら、
体が冷え切って、目が覚めた。のは、いつものこと。まだ夜中のこと。お手洗いのために体を起こすと、隣でスマホの画面が光っていた。隣の布団の中から。
「起きてる?」
「起きてます」
「珍しい」
「目が覚めちゃった」
「スマホ見てると、余計眠れないよ」
と、ぼくが言うと、パートナーはスマホを手放して、目を閉じた。いや、言うこと聞くんかい、思ったけど、そういう人なのだ。眠れないときは、無理に眠らない方がいい。とも、言うべきだったと思う。とはいえ、ぼくがお手洗いから戻ってきたときには、たぶんもう寝ていた。ぼくはぼくで、体が冷えているので、とにかく布団をかぶった。その内、また眠気が訪れた。
パートナーも近ごろ、時々ではあるけど、中途覚醒、もしくは早朝覚醒することがある。寝つきがすこぶるよく、朝までノンストップで眠り続けるのが常のパートナーが。なので、そんなパートナーでも、暑さというか、気候にずいぶんやられているのだな、と思う。誰でも、不調になる季節……。なお、季節問わず不調になるぼくは、さらに不調になっているのだった。あと、まったく関係ないけど外耳炎になった。(だいぶ治った。)
昨日のぼくは、自分なりに予定を立てて、とにかく動いた。動いて、動いて、夜、パートナーが帰ってくる数十分前くらいに、ふいに、ぷつりと糸が切れたみたいになった。もともと、それなりに疲労はあったけど、それがどっと肩に乗ったような。ぼくは、その場で膝をついていた。うちの中で、よかったけど。なんだか、とても悲しくなった。薬が切れたのか、と思ったけど、数時間前に飲んだばかりだった。悲しい。とても悲しい。
その後帰ってきたパートナーは、表情筋のしんでいるらしいぼくに、少しびっくりした。パートナーに支えられながら、なんとか立ち上がる。夕飯の準備ができていてよかった、とぼんやり思う。共同作業で、ノンフライヤーに下ごしらえした鶏肉をぽんぽん入れながら、ひとりじゃなくてよかったと思った。二人でも、無性に悲しくなることはあるけど、二人なら、ひとりだとできないことが、少しできるようになる。
唐揚げその他のおかずをいただき、少し足に力が入るようになった。とはいえ、疲れてはいるけど。切れてしまったラップを買って帰ったパートナーは、二人分のアイスも買ってくれていた。夕食後、並んでもぐもぐ食べながら、ようやく気持ちが上向きになってきた。上向きのまま、眠った。夢は見たけど、覚えていない。でも、歯ぎしりしなかった(らしい)ので、それなりの夢だったんだろう。
今日も、たぶん暑くなる。悲しくなったら、とにかく、なにか食べた方がいいだろうかと思った。
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