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丁度よく、目が覚めた朝に(今朝は、カフェオレ)
ふいに、目が覚めて。
まだ、早すぎる時間かと思って。
でも、時計を見れば、早朝と言えるにしても、早すぎることも遅すぎることもない時間だった。
まだ眠たいような、もしくは、一切眠たくないような。
重さのよくわからない瞼。
――おはよう。
――……おはよう、アルネ。
――変な顔。
――いつもです。
肩をすくめて、アルネは小さく笑う。
ぼくにしか見えない、ぼくだけの女の子。
――どれくらい眠ってたんだろう。
――そんなに早い時間から眠っていたかしら。
――そんなことない……と思うけど。夜中、一度も目が覚めなかったから。なんだか、変な感じ。
――よく眠れたのね。
――そうかもしれない。珍しく。
――嬉しくなさそう。
――いや、嬉しいよ。ただ、いいことがあった後の悪いことを、どうしても想像してしまうというか……。
――ねえ、コーヒーを淹れて。
――あ、うん。今朝は、牛乳はどうする?
――入れてもらおうかしら。
――わかった。たくさん、ね。
豆は、どれがいいかな。と思い、今朝は、友人からもらった豆にした。きっと、牛乳とも相性がいいことだろう。
豆を挽いている内に、本当に目が覚めていることが、だんだん実感できるような気がした。
牛乳をあたためている鍋の上で、軽く手をかざす。あたたかい。
――はい、どうぞ。
――ありがとう。……うん、おいしいわ。
――よかった。……おいしい。朝はもう、ずいぶん寒いね。
――今朝は、元気そう。変な顔はしているけど。
――そんなに変な顔かな……。まあ、でも、いいことだよ。傍目から見ても、元気そうなら。
――いい夢を見たの?
――ううん。見なかったよ。見なかったから、よかったのかな。いい夢にしろ悪い夢にしろ、ぼくは疲れてしまうみたいだから。
――じゃあ、夢を見ないほど、疲れていたのかしら。
――どうだろう。昨日は、そんな大したことはしてないはずだけど。
――本当?
――……考え事はしてたかも。
――いろいろと?
――いろいろと。
――きみは考え事が好きだし、ついついしてしまうものね。
――考えなくてもいいことまで、考えてしまうけどね。……そっか。それで疲れてたのか。眠れたなら、それはそれでいいことだけど。
――よく眠れたなら、いい日になるわ。
――そういうものかな。
――ええ。
――……そうだといいな。ありがとう、アルネ。
目を開けて、閉じて、開けて。
ようやく、瞼が軽いことになじんできた。
アルネがそう言ってくれるなら、いい日になるだろう。
ぼくは、残りのカフェオレを飲み干した。
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