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夕方の憂鬱と、絵本屋での歓び

夕方が近付くと、頭痛がする。


のは、考えてみれば、今に始まったことじゃない。


夕方は、気分が沈みやすいときもあるけど、抗不安薬のおかげか、ぼくはかろうじて浮いていられる。


また、EVEに頼ってしまった。常用するものではないのに。


でも、自分を責めるよりは、ましなのかもしれない。


わからない。


抗不安薬もEVEも、今日は忘れずに持ち歩く。


なにせ、人前で珈琲を淹れる日だ。


不安を軽くするものがあるなら、携帯するに越したことはない。


昨日は、リハビリも兼ねて、少し外出した。自転車を使って。


ここしばらく、横になっていることが多かった。立ったり座ったりすると、そのままの状態だと血の気が引いてくるから。


いくつかの病院で診てもらって、薬ももらって(結局、最後は通院している心療内科だった。)それでようやく、起きていられる時間が増えた。


まだふらつくこともあるから、長時間は活動できないけど、まあ、少しずつだ。


何ヶ月ぶりかに、絵本屋を訪ねた。


(好きな本屋なのだけど、普段は立ち寄らないエリアにあるのと、週末にしか営業していないのとで、思い出したときに行けなかったりする。)


店長の老婦人は、客が来たことで、消灯していたスペースを明るくした。それから、もう一度ぼくを見た。


「もしかして、何度も来てるお兄ちゃん?」

「そうです」

「あらら、ごめんなさいね」


この会話も、毎回のやりとり。


とはいえ、ここの老婦人は、子ども連れじゃない成人(主に20代とか30代)は、保育士なのかと訊きがちなので、まあ、覚えられている方だと思う。


彼女は、「いらっしゃいませ」の次は、大抵謝ってくる。


ぼくのことを覚えている以外でも、レジの奥で作業に集中していたとか、荷物が積み上がっているところがあるとかで。


こっちは(少なくとも、ぼくは)気にしていないのだけど、本人が気にしているんだろうか。もしくは、謝るのが癖になっているのか。


わからないけど、いつも「探しているものがあったら、声をかけてくださいね」と言われるのは、少し嬉しい。


好きな絵本作家の新作を見つけたので、それに決めた。スタンプカードを老婦人に渡すと、もう少しでたまるとかで、1コおまけしてくれた。


帰りに、翌日(今日)の個展が行われるギャラリーに寄って、知人に挨拶した。今日は、ここで珈琲を淹れる。


少しずつでも、調子が戻ってきている。


ぼくは、今日が晴れであることを感謝した。

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