はっきり目が覚めた。「はっきり」と、はっきり言えるほど。
いいことだけど、はっきりしない性質ゆえなのか、なんだか、言いようのない居心地の悪さを感じてもいる。
物思いに耽りかけたぼくを、アルネがまた、じっと覗き込んだ。
ぼくにしか見えない、ぼくだけの女の子。
訊ねたぼくをさておいて、アルネは背を向けてしまった。
そんなに、一時的とはいえ、健康そうなぼくは、不自然かな。まあ、ぼくが不自然だと思っているんだから、そうなのかもしれない。
ミルクパンの中で、ふつふつとあたたまっていく牛乳を眺めていると、なんだか眠くなってくる。四六時中眠いのが、ぼくだった気さえする。
どんなことからも、逃げられるなんて。それは夢物語で、今すぐ叶ってほしいのに、何があっても叶ってほしくないとも思っている。この板挟みは、続いていく。
だからこそ、ぼくは筆を進める。これから先も、ずっと。