「かもしれない」を、引き連れて
あらすじ:引き続き、体調不良(貧血等)。
なので、まったく外へ出ず、ほとんど横になって過ごした。
前日より、だいぶ楽になってはいた。ただ、外へ出たくない、というか、部屋にいたい、というか。
まだ、誰にも会わない方がいい気がした。ふとしたことで、突然不調になる気がして。
ありがたいことに、昨日は、そんなに寒くなかった。寒いと、不調になりやすい。
食欲はない。ので、白湯をすする。立ち上がるのに、少々時間はかかる。けれど、立ち上がってしまえば、それなりに動けた。
毎日続けているレモンのデッサンに、昼になる前に取りかかった。いつもは、夜か夕方だけど、時間が早い方が、集中力が切れにくい。単純に、疲れているかどうかの、違いだと思う。
だいぶ、形が掴めるようになった。気がする。どうだろう。レモンの皮は、まだ固い。(デッサンを始めてから、2コ目のレモン。)
デッサンを終えて、少し疲れた。集中していたせいなのか、というか、ずっと同じ姿勢だったせいなのか、立ち上がると目まいがした。大人しく横になる。
こんなときは、活字も見れない。コーヒーの匂いもだめだ。好きなものは、なにもかも。YouTubeならいいか、と思ったけれど、すぐに耳障りになった。じっとするしかない。が、眠気も来ない。
不安はない。安心はある。
部屋の中が、少しずつ、もしくは、あっという間に暗くなるのを眺めた。気がする。もしかしたら、気付かない内に眠っていたのかもしれない。わからない。
2杯目の白湯をすすっていると、スマホになにかの通知が来て、それで、今の時刻を知った。外だけじゃなく、時間も夜。
棚に収まっている、菅原敏の『季節を脱いでふたりは潜る』が目についた。抜き取って、12月の章を読む。まだ11月であることに、なぜか、しばらく気付けなかった。
コンタクトが乾いている。やっぱり、どこかのタイミングで眠ったのかもしれない。身に覚えがないけれど。もしくは、デッサンするときに、まばたきを忘れていたんだろうか。
まあ、いいか。
パートナーから、連絡が来た。今から帰ることと、なにか欲しいものは、と。パートナーは優しいので、ぼくが不調のときに、家事の無理強いはしない。食欲がなくても食べられそうなものを、いくつかお願いする。
一日中閉め切っていたカーテンを少し開け、窓も開けた。他人の家の匂いがした。
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