マガジンのカバー画像

目目、耳耳

168
感想文。
運営しているクリエイター

2022年7月の記事一覧

見逃したとて、(風街のふたり/カシワイ)

見逃したとて、(風街のふたり/カシワイ)

ひとりでいると、声を出すことがない。本当にない。ことを、意識することがない。のを、老人が、自宅に入ってきた少女に声をかけるシーンで、ふと思った。そこに意味なんてないだろうけど。

昔から、ひとりでどこかをうろつくのが好きだった。知っている場所でもいい。知らない場所でもいい。知っている場所でも、ふいに、見知らぬ場所に見えることがある。いくら知っても、知りつくすことがない。ぼくが、今住んでいるこの町も

もっとみる
ぼくに、呼吸させてくれたもの(センス・オブ・ワンダー/レイチェル・カーソン)

ぼくに、呼吸させてくれたもの(センス・オブ・ワンダー/レイチェル・カーソン)

ターシャ・テューダーしかり、自然を愛する人に、その愛し方に惹かれる。それは、ぼくも子どものころ、自然を愛していたからだと思う。

針葉樹の葉は銀色のさやをまとい、シダ類はまるで熱帯ジャングルのように青々と茂り、そのとがった一枚一枚の葉先からは水晶のようなしずくをしたたらせます。

――本文より引用

レイチェル・カーソンが目に見えるものを例え、それを想像し、その度に思い出す景色があった。どれも、子

もっとみる