恋の予感はなかったけど、いい予感はあった、はじまりの話
彼との、始まりの頃の話をすこし。
出会った頃、全然恋の予感がせず、
でも恋とは違う何かいい予感がしていた。
初めて会った日、
彼が近くまで迎えにきてくれて、
運転しながら、たまに1人でなにか喋ってる(独り言を言ってる?)彼を見て、
『この人、さては緊張しておる。慣れてないな?』
と横目で運転席を見ていたのを覚えている。(結構失礼)
初めてランチしたカフェは、
確か、わたしがいくつか案を出した中から決めた所で、全然リードしてくれている感じじゃなかったのが、少し残念だった。
でも明らかに、趣味が合いそうなのは分かっていたから、友達としてでもいいな〜と思っていた。
ランチをしたあと、珈琲屋さんに行って、
結構長い間話していたけど苦痛じゃなくて、
わたしも無理せずいられた。
ちょっと不思議な感覚で、でも恋の予感とは違っていた。
わたしにはその頃、
他にも何人か会っていた人がいて、
ひとりはちょっと長く深くて、あとは最近知り合った、みたいな浅い人たちだった。
そもそも、恋の予感ってなに?
って感じなんだけど、
出会い始めの恋の予感なんて、
大抵「ドキドキ」の感情じゃないですか。
例えば「安心」の人と「ドキドキ」の人が
それぞれいたら、
初めはやっぱり「ドキドキ」の人を好きになってしまう。わたしなら。
彼は、初めから、どちらかといえば「安心」寄りの人だったと思う。
ドキドキの人だと、自分に余裕がなくなって、目を見て話すのが精一杯になる。
安心の人だと、自分に余裕が出るから、
ちょっとのいたずら心で、自分から仕掛けがちだったり、相手の反応を見て楽しむことができる。
駆け引きってやつだ。恋のあるある?
その頃、会っていた別の人は、
飲んだあと、さっと手を繋いで駅まで送ってくれるような人で、
え?となってる間にバイバイした事もあった。
手を繋いでいいかも聞いてこないし、
日常ですけど?みたいな顔で、サッと。
(ドキドキ寄りの人だった。)
こいつ、慣れてやがる...と横目で見ながら、
いや...でもいいよな、慣れてるスマートな男.....と、完全に初手としては持って行かれたりもしていた。ちょろい。
彼はというと、
2回目のデートに誘われて、古着屋巡りをして、その後飲みに行った。
服の趣味も合うし、彼は私よりおしゃれに詳しくて、色んなショップを知っていたので案内してもらった。
出会って2回目の男女が、
洋服を一緒に見に行くハードル!!結構高いぞ!!!と初めは思っていたけれど、
ほんとうに無理なくいられて、普通に楽しかった。
帰りの電車、横並びのボックス席で
ちょっとお酒も入っていたから、ピタッとくっつく形で座っていた。
もう、いつでも手が握れる距離に、腕がありますよ??なにか起こってもおかしくない距離だよ?!と思っていたけど、彼はなにもしてこなくて、でも、チラッと見上げるとドキドキしていそうな顔をしていて、よそよそしくて、見ていて面白かった。
その頃は、わたし自身、彼にドキドキしていたわけじゃなかったけれど、今思うと、
会って数回の人にしては、かなり居心地が良く、めずらしく心を許していて、のびのびできていた。
そんなデートをしている間にも
別の、深くてわりと長かった人と、会うことをやめられなかった。
IKEAに行ってうちの間接照明を買ったり、(そんな記憶に残るような買い物、そんなやつとするな)
心が不安定すぎて、その人に急にラインを送って呼びつけようとしたり、
そんな感じで、相変わらず情緒が散らかっている女をしながら、なんとか過ごしていた。
彼との何回目かのデートの時、
お酒を飲んだあと、そのままうちに連れてきてしまったことがあって、その時点で「しまったなぁ...」と思っていた。
家に着いても、彼は頑なに、何もしようとしてこなかった。逆にどういうこと?となり、わたしが仕掛けて、色々ありながらも、結局は何かあってしまったのだけど、でもその後のやりとりがとても誠実だった。
安心寄りの人だったから、彼の「すき」の言葉に対して、すぐ「付き合いましょう」と返事をすることはできなくて、しばらく保留にさせてもらった。
それからも何回かデートをして、
やっぱり落ち着くし楽しいし、これは恋?なのか何なのか分からなかったけど、彼といたら「楽しくて幸せな日々」が想像できた。
それは最高なことで、私にとって、とてもいいことだった。
付き合おうと決めて、彼に伝えるまでの少しの間に、連絡をとっていた人は返事をしなくなったし、長くて深い人から連絡が来ていたけれど、「彼氏ができたからもう会わないよ」と送ることができた。
そうできた自分をみて、
逆に前回の人でそれができなかったのは、
どこかずっと不安があったからなんだと気づいた。
彼とは、
この人なら信じられるかも、と少しだけ期待をして、でもやっぱり簡単には信じられない、と予防線を張りながら、信じる方をとったのだ。
他の人を、きっぱり、付き合うタイミングで切れたことも、自分の中で、何かいい予感がしていたからかもしれない。
あと、これは誰にも言っていなかったことだけれど、彼は、昔私がダメダメだった時に好きになってくれて支えてくれた男の子と、とても感覚?雰囲気?が似ていた。
(私のnote読んでくれてる人だと誰かわかるかな)
それも、いい予感、の一部だったのかも知れない。
一年たった今も、そのいい予感は当たり続けていて、その時感じたあれが、恋の予感だったのかもしれない。
ドキドキじゃなくても、わくわくとか楽しい予感とか、そんなものが恋の予感だったのかも。
通り過ぎずに、いい予感として感じ取れてよかったな、あの時。
恋なんて、何回しても、人生に深みが出るだけだから最高なんだよ。
はじまり方はめちゃくちゃでも、出会い方がなんであっても、そんなものはどうでも良くて、いい予感を信じて、どんどん進んでいきたい。
このいい予感がずっと、続きますように
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