見出し画像

episode1 時間富豪

「今が一番裕福なのかもしれない」今朝突然気づく。
貯金暮らしで定期的収入もなく、将来に不安を感じる毎日。
ちょうど1年前に過酷労働と理不尽な雇用契約から逃れ始まった今の生活。
中年女性としては、収入も高く、ボーナスで娘の大学の学費も捻出できた。電気工事士、電気工事施工管理技士、建設業経理士をはじめ、建設業資格を持っていたことから現場代理人として就職していた。
男社会の中で自分の価値観が通じないオジサン達に指示し、建築や顧客、公務員に絶対服従しながら、理不尽社内ルールの中で辛うじて息を吐く。
炎天下でも極寒でも現場に出、サービス残業、数値評価に怒号では、続けられるわけもないのに。
女現場代理人時代の話はまた別の機会に話すとして、離職後にすぐ精神的に悪化し、コロナ罹患、コロナ後遺症、完全昼夜逆転とYouTube依存。
脱却できずに早1年。
焦る焦る。
起業してみたり、内職してみたり、手当たり次第に今の自分にできることを模索した。
貯金暮らしもあと数ヶ月しか保たない。
娘の大学院費用を捻出するため、まだ住んで1年半の家を売りに出すことに。
また就職か自営業か夢か海外逃亡かもまだ決まっていない。
そんな朝突然「あれ?今の私が一番自由で豊かじゃない?」という気づき。
時間泥棒、時間売買、アニメや映画や自己啓発本でもよく見るこのテーマ。
タイムマシーン、自殺、人間関係、社畜、豊かな生活、自分らしさ、進化、どんなものにも繋がっているんじゃなかろうかとすら思った。
何のために働くのか、「家族を養うため」という人の多くは、家族との時間を削る。
何のために美しくなるのか、「モテるため」という人の多くは、恋人との時間を削る。
何のために逃げるのか、「捕まらないため」という人の多くは、自由な時間を削る。
もちろんネット現代社会で多くの無駄時間を省き、賢く稼ぐ人も多い。
なのになぜか皆そのゆとり時間を埋めようと必死だ。時短レシピ、隙間学習、情報収集、ながらスマホ、業務効率化。
いやいや、違うでしょ。
でも日本人の多くが陥る沼。
バブル期の親から見たら、ゆとり世代と言われ、誰と比べるでもなく、もっと賢くなりたいと願い、ちょっとの空き時間に不安すら感じてしまう。
そして無駄を極限まで削ぎ落とした結果、完璧主義の自分と和解できずに精神を病む。
平均寿命まであと何日しかない!  効率的な働き方! 早期退職とセカンドライフ! fire達成! 優雅な老後! と追い立てられ、日本経済衰退! 老後2000万円問題! 少子高齢化! と不安に焦らされていないだろうか。
いつ死ぬかわからないし、効率化の名の下の過重労働、早期退職で失った社会交流、使う先のないお金、老後の自由、本当に自分に価値があることだろうかと立ち止まってみた。
働かない罪悪感は幼少期の教育からくるものだろうし、税金で国民のお世話になってるわけでもない。向上心はずっと維持しなきゃいけないのか、身から湧き出たら勝手に動き出すし。
この時間が心底欲しい人、この自由を目指し生きている人もいるだろう。
よし、焦るのやめた。
めっちゃ時間富豪じゃん、私。
不安がるのやめた。
今まで運良く生きられたし、なんとかなる。
詰めるのやめた。
深呼吸してやりたいことだけ、やりたい順番でやればいいや。
いいんだよ。自分の人生なんだから、自分の使いたいように使って、自分を喜ばせたら勝ち。





執筆活動へのサポート、心より感謝申し上げます_(._.)_ 大変励みになります(⋈◍>◡<◍)。✧♡