どの国で生きるか、どの国で生きられるか
今日のドイツは最高気温が33度。たぶんこの夏で一番気温が高いくらいの今日、さすがに部屋の中も暑くて、ブラインドを閉めたまま、扇風機は体に直あてで過ごしている。
とはいっても、こちらの室内はけっこう涼しいと思う。あ、たまにあるアルトバウの屋根裏(アルトバウとは築100年とかの家)とかは除く。屋根裏部屋って憧れるしすごくおしゃれだけど、夏は暮らせないほど暑いと聞いた。
私の住んでいるアパートは、築30年弱のドイツでは比較的新しい家。アルトバウ=古い家 に対して、ノイバウ=新しい家 と呼ばれる。
どちらも良し悪しあるけれど、やっぱりノイバウは暮らしやすく作られているなと思うし、いまのところこの家に居られないほど暑かったことはない。
それに、ドイツはやっぱりなんてったって、日本より湿度が低い。そのおかげなのかお肌や頭皮が荒れることは気になるけれど……。
今日もこの部屋の湿度は36%。基本的に家にエアコンがないドイツで、扇風機直あてでなんとか暮らせるのは、この低い湿度のおかげなのだろうと思う。
けれど、これは人によるのだろうとも思う。そう思ったのは去年、家族がドイツに遊びに来たときのこと。その時は、父と弟が私の住むベルリンへ遊びに来た。季節は夏の終わりから秋、9〜11月だった。
当時の私は、いわゆるアルトバウのアパートに住んでいた。その家はこの家よりももっと涼しくて、春でもヒートテックとセーターを着るような家だった。でも、私の2倍以上も体の大きさのある弟は、9月の暑さがなかなか辛いようだった。
彼は家で、扇風機だけでなく、ひんやりするあの首につけるやつ(名前がわからない)をつけて過ごしていた。それでも調子を崩しがちだった。
それまでの私は、エアコンのないドイツの暮らしを、ちょうど均衡が取れているものだなと思っていた。ちょっと暑くなる日はあれど、湿度が低いから、まあちょっと工夫すれば暮らせなくはない。うまくできてるものだなと。
だけど、なるほど、暑さの感じ方は人によるのだな、環境的にどこに暮らせるかというのは人それぞれなんだなと、そのときに理解をした。このときのことは、私にとってはかなり大きな気づきだった。
というのも、私はいままでに住んだ外国で、環境に悩まされる体験がなかった。日本とは食事の文化が違うとか、マナーやルールが違うから、ちょっと戸惑うみたいなことはあっても、別に暮らしに困ることはなかった。
でも、弟を見ていて知った。弟の場合はドイツの夏の暑さがダメ、あと水もダメ。「自分がどこに住みたいか」だけでなく、「その環境に住めるのか」で選ばされることもあるのだと思った。
私の場合は、自分が好きな国の環境と、偶然マッチして住むことができた。けれど、たとえばじゃあ寒さが厳しいと聞くカナダは、私には辛かったかも。タイのもわっとする暑さも、私には辛かったかも。
夏が来て、暑い日があると、あのときの弟のことを思い出す。彼はベルリンに2か月滞在して、ここでの暮らしを好きになって帰っていってくれた。でも、住みたくはないということだった。
ドイツ大好きな姉としてはちょっと寂しく感じたけれど、環境で選ばされることがあるということを、彼のおかげで実感した。同時に、好きな場所に暮らせていることを、より一層ありがたく思った。住みたい国に住めるのは、当たり前じゃないんだよなと。
どの国で生きるか、どの国で生きられるか。そんな問いを、この記事には置いておこうと思う。あなたにはこの問いがどう響く?
体に直あての扇風機がちょっと寒くなってきたので方向を変えた。目の前のブラインドをやっと開けて、明るくなった。
いまドイツは昼の1時すぎ。残りの今日も、この環境に感謝をしながら過ごそうと思う。
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7年半勤めた会社を30歳で辞め、好きな場所に住んで好きな仕事をする人生を作り直すと決めました。サポートいただいたお金は、退職後にお仕事にしているコーチングのスキル向上や、noteを書き続けるための生活に使用します🙇🏻これからも記事を通してみなさんと繋がれたら嬉しいです☺️