アニメ思考法:複雑で困難な問題への創造的アプローチ (1)
このnoteの読者には、漫画やアニメのファンが多いので、AI倫理、サイバーセキュリティ問題、情報工学、国際政治、資源・エネルギー問題、持続可能性などの困難な課題を、アニメを交えて解説しています。今回はその理由についてお話しします。
一般的に、勉強をせずに漫画やアニメばかり見る子供は『もっと勉強しなさい!』と叱られがちです。そこで、漫画やアニメに対する一般的な偏見に挑み、アニメファンが賢いと感じるエピソードを紹介します。
日本では特に、難関大学入学者や大学教授、官僚、医師、弁護士などの専門家の多くは、受験勉強に多くの時間を費やしており、漫画やアニメに詳しくない人が多いです。しかし、彼らの中にはアニメファンも少なくありません。私の友人で、難関試験を一発で突破した方々の多くは、漫画やアニメに精通しており、その多くが名門校を主席で卒業しています。
難関試験に合格した事実だけを見ると、漫画やアニメの好き嫌いは重要ではないかもしれません。しかし、学業や部活動に励みながらも漫画やアニメや楽器の演奏を楽しみながら余裕で合格している人と、夜遅くまで勉強に明け暮れて必死で合格できた人では、どちらがより余裕を持っているかを考えてみてください。
私の大学教授や研究者などの友人たちの中には、手塚治虫や石ノ森章太郎の漫画やアニメの影響を受けて教授や研究者になった方が多く、映画やSF小説にも精通しています。
東京大学大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻の稲見昌彦教授は、士郎正宗の漫画『攻殻機動隊』の『光学迷彩』を実現した学者として世界的に有名ですが、彼は私から見ると、単なるアニメオタク仲間です。
『攻殻機動隊』は、哲学、生命倫理、AI倫理問題などを随所に散りばめています。ハリウッド映画の『マトリックス』が『攻殻機動隊』の世界観をベースにして作られたことや、スカーレット・ヨハンソン主演の『ゴースト・イン・ザ・シェル』が『攻殻機動隊』の影響を受けて製作されたことは広く知られています。これらは、日本の漫画やアニメが世界の文化に与えている影響の一端を示すものであり、その影響力は計り知れません。
日本の受験勉強はパターン学習が主流で、官僚や裁判官も前例に従って決定を下すことが多いです。しかし、実際の社会は正解や解答のない問題が多く、国際的に評価されている研究者や教授は、哲学、数学、科学などでは解決できなかった未知の問題を解明しています。既に解明されている問題や、正解のある問題を解く能力は、凡人でも身に着けることができる能力ですが、未知や未解決の問題を解決するためには、非凡な才能が必要です。
漫画やアニメの解釈や制作には正解がないため、このような正解の無い対象に興味を持つ人は高い知的好奇心を持つ傾向があります。漫画やアニメファンを魅了している作品の原作者などには、さらに高度な知性や創造性に加えて、作品に対する情熱と忍耐力が求められます。
このブログでは、様々な難解な問題を、アニメを交えて取り上げていますが、それは漫画やアニメに関心のある読者がこれらの話題を理解できる高い知的レベルを持っていると想定しているからです。
近年の日本の傾向としては『タイパ』と称して、最短距離で正解を求める小手先のテクニックを身に着けることに熱心な若者が多いです。しかしながら、断片的な知識で解決できる問題は極めて限定的であり、私はそのような能力には価値を見出しません。
漫画やアニメには、単なる娯楽を超えた深い学びと洞察が含まれています。これらのメディアを通じて、私たちは複雑なテーマについての理解を深め、クリティカルシンキングを養うことができます。未知の問題に挑戦し、創造性を育むためには、多様な視点と知的好奇心が必要です。
漫画やアニメが提供する豊かな物語とキャラクターは、そのような資質を育むのに理想的な素材です。このブログでは、これらの素材を活用し、読者がより豊かな知識と理解を獲得できるよう努めています。それが、私たちが直面する複雑な世界をよりよく理解し、それに貢献するための一歩となるでしょう。
つづく…
武智倫太郎
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?