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わが家の御雛様と、アトリエの先生ご夫妻との思い出

こんにちは、aicafeです。
40代、人生時計で14:00頃に差し掛かったところです。
これからの人生の午後の時間の過ごし方を模索中です。

雛祭りですね。
わたしが幼い頃は、祖母が生まれた大正時代の御雛様を桃の花と共に毎年母が大事に飾っていました。

御雛様は、二十四節気の「雨水」の日に出すと良縁に恵まれると言われています。
もともと雛人形は厄を移した人形を水に流していたことに由来するようです。

わが家の女の子はわたしだけなので、「自分にいろいろ良い縁がありますように!」と願いつつ、今年の雨水の日の2月19日、お雛様を出しました。

今は、結婚の時に持たせてもらった、一刀彫鐵山の御雛様と、わたしが小学生の時に通っていた絵画教室で作ったお雛様を飾っています。

じゃーん

小さな小さな、指先サイズのお人形の並ぶ、五段飾りの御雛様です。

こんなに小さい

この絵画教室では、近所に住んでいた美大の先生ご夫婦が、自宅を開放して地域の子どもたちに絵や工作を教えていました。
わたしは小学4年生くらいから中学の終わりまで通いました。
中学生になると、木炭を使った本格的なデッサンや、油絵を教わりました。

先生ご自身が設計したご自宅は、誰もが「カッコいい!」と思うような斬新な建物でした。
外装はグレーがかったモスグリーンの暗い色で、内装は一変してぱっと明るく、木製の床や柱に白い壁の広々とした空間の広がる建物でした。

1階がアトリエとお教室と和室、2階が生活空間に分かれていて、色々なところに段差があり、2階は吹き抜けの大空間中二階の寝室天窓からはあふれるほどの太陽の光が注ぎ、飼い猫ちゃんたちが出入りする扉も備わっていました。

アトリエには先生が制作するキャンバス画材道具版画の機材などが所狭しと並んでいて、独特の油絵具の匂いが鼻をツンとさせました。

先生たちは、生徒の名前を呼び捨てで呼びました。
小学生のわたしは、それまでの人生で大人に名前を呼び捨てにされたことがなかったので、「大人がそんな呼び方していいいんだ!」と、びっくりしました。同時に、先生とわたしの関係性がぐっと近づいたようで、とても嬉しかったのを覚えています。

先生ご夫婦にはお子さんがおらず、いつも二人でした。
話し方も軽妙で、わたしの周りの《大人》とはおよそ全然違いました。
見た目もおしゃれで若々しく、《きちんと》していませんでした。
自分の周りの大人は、堅苦しくて格好悪いなと思いつつも、
先生ご夫妻は、異質すぎて、なんとなく、いけないような気がして、ドキドキしました。
こんな大人もいるんだ、と初めて思ったのは先生ご夫婦です。

そのお教室でつくった雛飾り。

ほとんど先生がつくってくれた

紙粘土で丸めたお雛様に色を塗って顔を描いたもの。
奥さん先生がほとんど土台を作ってくれたものを、生徒の小学生たちが仕上げをしました。

毎年このお雛様を飾る時、先生ご夫妻との時間を思い出します。


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