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お迎え、間に合うかな・・・2017・12②

育休後アドバイザーとして
育児と仕事の両立に役立つ情報、
日々のことを発信しているワーママaiです。


仕事と育児の両立に苦戦した日々の記録を
ストーリー形式で振り返っていきます。


これまでの話・・・

1.お迎え、間に合うかな… 2017.01
⒉ お迎え、間に合うかな… 2017.02
3.お迎え、間に合うかな… 2017.03
4.お迎え、間に合うかな… 2017.04①
5.お迎え、間に合うかな… 2017.04
6.お迎え、間に合うかな… 2017.05
7お迎え、間に合うかな… 2017.06
8.お迎え、間に合うかな… 2017.07
9.お迎え、間に合うかな… 2017.08
10.お迎え、間に合うかな… 2017.09
11.お迎え、間に合うかな… 2017.1012.お迎え、間に合うかな… 2017.11①13.お迎え、間に合うかな… 2017.11②
14.お迎え、間に合うかな… 2017.12①



2017年12月②



7時15分すぎ。さすがに土曜日、この時間の電車は空いている。
私は、到着した電車に一緒に乗り込んだ男性を見て、驚いた。
「部長!お、おはようございます。」
「相田さん、おはよう。今日は休日出勤?・・・そこ、座ろうか。」
部長が同じ駅を利用していることは知っていた。
まさか、このタイミングで一緒の電車になるとは・・・。
私は少々気まずい気持ちで部長の隣に座った。
空いている車内の席に並んで座ると、部長がこう話しかけてくれる。
「ずいぶん早いんだね。」
「実は会社の近くのカフェに寄ってから出社しようと思って・・・・・。」
休日、しかも始業時間よりもだいぶ早い時間にここにいる理由を言った。
「そうだったんだね。今、部署が混乱していて申し訳ないね。」
部長から部署の状況のことで気にかけてもらい、恐縮な思いだった。
「いえ。私も時短のため力になれないことも多く申し訳ないです。」
部長には時短勤務制度利用のことを相談したことはなかった。
けれども、課長から私が時短勤務の件で相談しているということは聞いているだろう。
課長に相談しても解決しない場合、部長に相談する方法もある。
けれども、現場の梶を切っている課長に言うべき問題だと私は考えていた。
部長が解決すべきことではないように思っていたのだ。
「もう少し迷惑かけるけどよろしくね。」
「はい。」
その後、部長が気を使って話しかけてくれそれに私が答える形で会話を続けた。
会社の最寄駅に着くと部長と別れ、私はカフェへ行った。





休日のまだ早い時間。カフェは空いている。
カップを手に店内の席に座った。
休日出勤は大変だけれども、早く家を出て始業時間までカフェでゆっくりしてから会社へ行くのが楽しみであった。
ここに滞在できるのは短い時間だけれど、リフレッシュできるひとときだ。
休日出勤の日は夫が娘をみてくれる、その安心感は大きかった。
今日は、保育園からの呼び出しやお迎えの時間を気にしなくていい。
安心して仕事に集中できることはありがたいと実感する。
休日出勤は安心して仕事はできるけれど、休日出勤をする際に乗り越えなければいけないこともあった。
それは、課長に休日出勤の許可をもらうこと。
もちろん、本来ならば仕事を就業時間内に終わらせるべきだ。
けれど、この状況の繁忙期。到底終わる業務量ではない。
昨日もお迎え時間まで残業したけれど、やはり終わるはずがなく、仕方なく課長に休日出勤の許可を願い出た。
「課長、A社伝票処理のため明日休日出勤してもいいでしょうか。」
「・・・はい。」
課長は、こちらを向くこともなく不機嫌そうに返事をする。
課長としても従業員の休日出勤が多いければ、人事部から指摘されるだろう。
休日出勤の許可をもらう際のこうした態度から、なるべく休日出勤をして欲しくないという課長の気持ちが伝わる。
課長から伝わるプレッシャーは苦痛だったけれど、業務が終わらないままにするわけにもいかない。
思うところもあるけれど、とにかく責任を持ってきちんと業務を処理するために割り切るしかなかった。
ふと時計を見て立ち上がった。もうすぐ始業時間だ。
私は、クリスマスカラーのカップを手に会社へと向かった。





休日出勤する日のオフィスは、人が少なくて静かだ。
私はデスクへと向かう。
「相田さん、休日出勤?忙しいんだね。」
オフィスに入ると、以前、営業一課にいた上司、村井さんに話しかけられた。
「おはようございます。」
「管理チームの佐藤さんが応援に入ったんだってね。大変だけどがんばって。」
「ありがとうございます。」
私は、お礼を言うとデスクへと急いだ。
村井さんの言う通り、先日、ついに管理チームからの応援が入った。
けれど、私は休日出勤が必要なのが現状だ。
というのも、応援を依頼した目的は、奥村さんと増田さんの業務軽減だったのだ。
奥村さんと増田さんの残業時間がこのままだと規定時間を超えてしまうということが喫緊の問題になっていた。
そして、このタイミングでの退職者。
とうとう、管理チームから応援を頼むことにしたのだ。
優先事項は、奥村さんんと増田さんの残業時間が規定時間を超えないことだ。
応援者に、奥村さんと増田さんの業務の一部をやってもらうことでそれを回避することができる。
リーダーの奥村さんが決めた佐藤の業務内容は、私や小野さんの業務軽減には関わりのない内容だった。
正直に言うと、応援者が来ると聞いた時は、私の業務の軽減に繋がるかもしれない、と期待していた。
労働組合からの連絡で、私や小野さんが時短勤務時間で上がれるように応援者を呼んだのでは?とさえ思っていたことが恥ずかしく思えた。
規定の残業時間を超えてしまうと労働基準法に違反してしまうことは、部署として会社としては絶対に避けるべき問題ということは理解している。
だけど、私の時短勤務制度利用は会社や部署としてすぐに解決すべき問題ではなく、「個人的な問題」ということを突きつけられた気分だった。





応援にきてくれる佐藤さんも時短勤務者だ。
午前中は自身の部署の業務、午後から応援に来てもらい16時で上がるということと残業はできない、ということが伝えられていた。
佐藤さんは、元営業部署にいたベテランだ。40歳半ばの女性社員。3人のお子さんがいる。
社内では、数少ない時短勤務の先輩だ。
管理チームは営業部署よりも落ち着いた環境だ。
そのため佐藤さんも自身の業務とここの部署の手伝いも可能のようだった。
元営業部署にいた経験があるだけに、佐藤さんには多いに助けられたのだ。
佐藤さんは時短勤務時間の16時には業務終了だ。
「ありがとうございました。」
16時になると私たちは退社する佐藤さんにお礼を言う。
同じ時短勤務制度を活用しているけれど、私は申請している16時には上がることはできない。
なんだか複雑な気持ちだ。
同じ会社内でも、部署によって業務内容が違うので時短制度の活用のしやすさがあると感じている。
入社以来13年間この部署にいるけれど、もしかしたら他の部署だったら・・・、そんなことを考えることもある。
部署によっても時短勤務がしやすい、しにくいというのは実際にあると感じている。
同じ会社内でも、私の所属している残業が多い部署は時短勤務で上がりにくい雰囲気だ。
もし、残業が少ない部署だった気まずい思いをせず、上がれることができたかもしれない。
やはり、労働組合との話し合いで人事部にこれまでの事例や他部署の様子を聞いてみてはどうかという話しになった通り、人事部に確認してみよう。
私は、人事部への問い合わをしようと決めた。







忙しい合間を縫って、私は人事部に問い合わせの電話をした。
人事部の担当者から時短勤務制度の説明があったが、より詳しく確認するためだ。
以前開催された時短勤務者セミナーの開催担当者が人事部の鈴木さんだ。
鈴木さんは人事部主催のセミナーでは司会進行を行うことも多く、私もよく覚えている。
鈴木さんは40代後半、優しい雰囲気ながらセミナーの司会進行を務める姿は知的なイメージを与える、そんな女性だ。
鈴木さんが電話にでると、簡潔に私の時短勤務制度申請の状況と上司に相談しても改善には至っていないことを説明した。
そして、時短勤務制度の利用について確認をする
まずは、時短勤務制度は申請した時間通りに利用してよいということだ。それを聞いてほっとする。
そして、鈴木さんはこう続けた。
「所属部署の様子は聞いています。大変ですね。」
と労いの言葉をかけてくれた。
それから、鈴木さんの次の言葉で私は、固まってしまう。
「かなり前ですが、他の部署で残業を減らしてもらうよう人事部から管理部門へと通達した例があります。人事部から管理部門に時短勤務を申請者が利用できるようお話しすることもできます。」
つまり、時短勤務者が制度を活用できていないという相談があったことが管理部門経由で部課長に行ってしまうのだ。
他部署などに相談していれば当然なのだが、そのことを改めて考え不安になった。
私があちこちに相談して回ってることは、部課長は快く思わないだろう。
管理部門から連絡が部課長に入るなんて、なおさらだ。
私は、急に怖くなったのだ。
「・・・。部内で解決できるか上司ともう一度話してみてから、人事部から管理部門へ要望を伝えてもらうというお願いをしてもいいでしょうか・・・・。」
私は、少し考えてこう返答をした。
「わかりました、話した結果も合わせてまた連絡してください。」
鈴木さんの言葉に、
「はい・・・。お忙しいところ、ありがとうございました。」
と、私は手に汗をかきながら受話器を置いた。





鈴木さんには、あんなことを言ってしまったけれど、もう課長に相談する気持ちはない。
何度も同じ返答しか得られないことはわかっている。
みんなも残業が多く、他の事務メンバーに仕事を回すということはできないため課長に相談したはずが、課長に事務チーム内で解決して欲しいとを言われてしまったことで私は今後このことを相談しないと決めた。
では、どうすればいい?
告げ口のように思われないで解決できる方法はあるのか?
・・・わからない。
もう、本当に疲れてしまった。
これ以上、考えることもできない。
目の前の仕事をなんとか終える以外の気力はもうない。
もう、これについて考えることをやめたい・・・。
このまま我慢して、残業や休日出勤して嵐が過ぎ去るのを待ったほうがいい・・・。
そんなことを思いながら、ただ日々の業務を処理するだけの日々を過ごしていた。
しかし、私の背中をまた押してくれる、出来事があったのだ。





延長保育ギリギリの時間になってしまい慌ててエレベーターに乗り込んだ時のことだった。
実は、このエレベーターでの出来事がきっかけで、私はまた前に進む勇気と希望をもらうことになる。
その時の私は、エレベーターを待ちながら疲れ切った頭でいつもの心配をしていた。

お迎え、間に合うかな・・・・。


つづく・・・

*余裕なしワーママを変えた幸せな両立テクをまとめました↓





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