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小説「黒の悪魔が死ぬまで。」

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伝承『黒の悪魔と旅人と。』に出てくる”黒の悪魔”。 その、空想の産物だと思われていた”黒の悪魔”が …ある日、突如として、現実世界にーーー誕生した。 さっぱり読める、安心…
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#王道ファンタジー

第52話「先回り」

「ハァハァ…。もう、追ってきてないよな?」

俺は、一度も後ろを振り返らないまま、
ただひたすらシオンを引っ張って…

路地を走り回って、人気のない方を選んで進んだ…んだけど。

「てか、追っ手がどうこうより…

俺たち、今どこにいるんだろ?」

俺は苦笑いして、
掴んでいた手を離し、隣に立つシオンに話しかけた。

俺たちの周りには、いつの間にか建物が無くなっていて。

小さな川と、そこにかかる小

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第51話「”禁色”の少年」

(ここに、俺と同じ”禁色”が…。

ひどい目に、あってるらしいし、
早く見つけて、助けてあげたいな。)

はやる気持ちを抑えて。

一応初めてくる場所だから、
黒の隊服をコートで隠して歩く。

ホワイトノーブルは、
まだ表立って戦う気は無いみたいだけど…

さすがに、こんなところで
ヤツラに見つかるのは避けたかった。

そんなこんなで、自分でも少し怪しいなと思いながら
コートの前をピッタリと閉めて

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第三章(来たる日に備えて):第50話「特色隊、通常運転」

『ま〜だ着かないのぉ〜?お腹すいちゃったなぁ〜。』

「その姿で”お腹すいた”は無いでしょ!全く、また勝手に出てきて…。」

昼食を終えて、あれからすぐに出発。

ペアレの背に乗って、”目的の村”まで駆け抜けて
さすがに陽が落ちてきたから、各自徒歩に切り替えたその頃。

”また”、アオ兄が薄い赤色の鳥として、勝手に発現してきた。

『だってぇ〜。本格的に日が落ちたら、もう出てこられないんだもん!兄

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第4話「カラーズはどこに」

…今日も、ダメだった。
  
いくら朝の光を浴びても、”腕に”反応は、一つもなかった。

「なんでだよ…。」

部屋の姿見に写る自分の姿を見て、嫌というほど確認した両方の腕を睨みつける。
悔しくなって叩いてもつねっても、痛いだけで…相変わらず、何の反応も返ってこなかった。

…「なんで、俺だけ…。」

父さんも母さんもアオ兄も、俺以外の家族はみんな、
今の自分と同じ歳にはもう”チカラが発現”してい

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序章:第2話「プロローグ」

”黒の悪魔”による大惨事【黒の誕生】から7年。

後に【黒の再来】と呼ばれることになる、ミタ山の3分の1が跡形もなく消し飛んだ悲劇。

その、黒の悪魔による2回目の大惨事【黒の再来】の、直前ーー

ーーどうしたらいい?どうしたら…。

少年の腕の中、全身から溢れ出す血に染まってゆく人間が…1人。

ーーー守るんだ。命に替えても…。

少年は想う。この人を守りたい。他の何を犠牲にしても…と。

そし

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小説「黒の悪魔が死ぬまで。」あらすじ

伝承『黒の悪魔と旅人と。』に出てくる”黒の悪魔”。

その、空想の産物だと思われていた”黒の悪魔”が…

ある日、突如として、現実世界に誕生した。

のちに【黒の誕生】と呼ばれるようになった、その大惨事では…

…伝承の”黒の悪魔”と、同じ”チカラ”と”姿”をもった人間が、

その”チカラ”を解放し…多くの犠牲者を出した。

そんな大惨事【黒の誕生】から、7年。

主人公”ヨウ”は、
【黒の誕生】

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