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即興小説 タイマン走馬燈

占い の実力について考える日々である。

90年代に渋谷で幕を開けた 投資家&起業家コミュニティー ビットバレー 。

開会イベントは、六本木ベルフォーレ。

開会宣言として、どこかの投資家のおっさん が学生たちに向けて、

「とうとう 私たちは未来を予測する方法を手に入れた。それは 複雑系科学 であり、もはや 流行でさえアルゴリズムによって解析できる」

と恍惚とした表情で演説。

多くの学生たちを置き去りにして本格化していったのが、ここ、日本のインターネットカルチャーである。

Yahoo! という ポータルサイト にて、
パーソナルメディアをマスメディア化 したのは、やはり他でもなく 孫正義 であり。

そのシンボルを自覚的に引き受けた孫は、会の中盤で登壇、

「数時間前まで海外にいたんですけど、約一千万で飛行機をチャーターしてここにやってきました」

と、にこやかに告げ、学生たちは大声を挙げて喜び、冷静な起業家たちだけがその狙いについて分析するという、異様な温度差が会場に蔓延していた。

詩人でありゲームデザイナーの僕は、それを「阿呆らし」、と呆れて眺め、

隣にいた医者でありバックパッカーである先輩を誘い出し、迷い込んだふりを決め込みVIPルームに侵入。

そこでは、渋谷一頭地のどでかいビルに専門学校を構えるビットバレー主催クラスのおっさんが、若いナンバーツーに向かって、

「ビットバレーなんて色即是空、空の器だよ。魑魅魍魎が喰い散らかして終わるのさ」

と、そこから始めろ、という意味でそれを告げ、

それを告げられた若者は、その意味をすんなり消化できないのか……ただただ顔面を蒼白させたまま首をうなだれ、頷くだけだった。

僕らはそれを飲み干し、数分後黒服に会員証の提示を求められ、

「すみません!トイレ探してたら、なんか辿り着いちゃって。てへ」

って、自分にしかリテラシー不可能な深遠なるポエムをつぶやきに変え、得意のチャラ男のフリでその場を後にする。

僕の周りには、未来を読める友人が僕を含めて4人いる。

3人は女性であり、僕は自分の中に女性がいるという意味では女性である。

僕は小学生から、妹の影響で少女漫画を読んでいる⇦(もちろんこの一行はフェイクね。きちんと裏読みしてね😉)

なぜ女性ばかりがこの才能に秀でているのか?

その答えはわかりやす過ぎる位明確で、単純に魔女だからである。

90年代にIBMのサイトにて、占いのコーナーを担当していた占い師は、唯一日本人でアメリカの魔女協会に所属しており、そこでは『月の裏側』という名前を冠していた。

彼女がなぜ魔女であり、『ダークムーン』という呼び名を冠してるかといったら、その答えは単純明解、自然の運行に合わせて生きているからだ。

月の満ち欠けや嵐の発生、宇宙の円環その揺らぎを、大空のようなその存在でシンクロさせるリテラシー。

僕が勝てると確信したジャンケンに絶対勝てるのはそういった法則によるものだし、同時に未来が読めるのもそこに起因している。

そして、絶対に不幸になるとわかっていながら、ハイリスクな未来を敢えて選択するのは何故か? という問が残るわけだが、

なんて事は無い、将棋の一手目の段階で、王手まで全て解析していながらそこに進む以外にないからである。

でも、それでも尚、奇跡という可能性だけが同時に常に、毎時0. 2秒の中に残っているからだ。

何かをどこかでかけ違えたら、本来あった未来は激減する。

逆だ。バグを生み出すことができたなら、未来を変えることができるのだ。

バグという創造性、その突然変異を。

複雑系科学 カオス理論

初期値鋭敏性 バタフライエフェクト

ほんの0.2秒でいい。

ほんのかすかな0.2秒、

その隙間で

自由に動くことができたならそれで。

あらゆる現象を司る生命に基本自由なんてない。

存在が自ら自由意志を発動し、自由に動ける時の隙間は、約0.2秒しか、ない。

僕が今、その0.2秒を常に意識しつつ、変えられるかもわからない道の上にいることさえ、運命であることを認識しながら、

どうにかその初期値鋭敏性の発動される0.2秒の中にいる 素粒子 ミクロモアイ を

たった一粒でもいいからと

この指先で弾くため

僕は僕の命を

ここに留めている。

そのため方法として

僕には

詩と音楽が

ある。


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