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デザイナーはアナログ人間。

生成AIの普及で、「アナログこそ正義!」とは声高に叫べない時代になりました。

どうも!マネージャーのFです。

アートにもAIが使われるようになった昨今、色んな界隈でアナログな手仕事の価値が問われ始めている気がします。
そう、みなさん一様にそんな気はしてますよね。だって色んなニュースで取り上げられてますもの。私だけではありません。

個人的なお気持ちだけで言えば、AIに楯つきたい気持ちはめちゃくちゃある方です。デコピン一発で弾き飛ばされる気しかしないから勝負は挑まないけど。

……違いますよ、戦略的撤退というやつです。

さて、美術学科出身のアナログ人間としてはそんな感じなのですが、ではイラレ(≒デジタル)をゴリゴリに使いこなすデザイナーにとってはどうなんでしょう。タイトルにもある通り、実はアナログな作業はデザイン制作において無視できない重要な要素のひとつとしてあります。

今回はそんな”アナログ”を存分に活かしたとあるロゴマークについてお話ししていきます!


デザインがさらにおいしくなる話vol.24【ゆうゆうクラブ】



1.特定非営利活動法人ゆうゆうクラブとは

さっそくですが頭文字が仰々しすぎる…。
ちょっと噛み砕いてご説明していきますね。

「特定非営利活動法人」とは「NPO法人」のことです。
(これならほとんどの方が聞いたことあるはず…!)

特定非営利活動法人(=NPO法人)とは

社会貢献を目的としたさまざまな活動を行う非営利団体のこと。収益を目的とする事業を行うこと自体は認められるが、事業で得た収益は社会貢献活動に充てることが原則である。

社会貢献活動と言っても色々ありますが、ゆうゆうクラブは地域の子育てサポートを主な目的として立ち上がった団体です。そこから対象がお年寄りや大人たちにまで広がり、今では子どもも大人もお年寄りも集える「家・職場に代わる第三の居場所」として、さまざまな活動を行っています。

今回のお客さまは、このゆうゆうクラブさん。
結構長く活動されているNPO法人さんなのですが、「パッと見てわかるような旗印は作っていなかった!」とロゴマーク制作のご依頼をいただきました。


2.ターゲットは老若男女

ゆうゆうクラブさんの場合、活動内容からして守備範囲は全方位です。

大げさに言うと、
年齢性別に関係なく、100人の人が見て100人全員が「慈善団体」と直感的にわかるロゴマークを作りたいわけです。

言葉にすると結構難しいですが…こういう課題の解決こそデザインの真骨頂。
誰に対してもやさしく、わかりやすく、それでいて非営利団体、ボランティア、コミュニティーらしさを表現したデザインを考えました。

それが、こちら!

コンセプトは「人との繋がり」です。

「ゆうゆう」の文字が丸く、円を想像させるところから、〇が重なったイメージに。
子どもからお年寄りまで、幅広い層が繋がる場所なので〇を人の顔にして、それが重なる=コミュニケーションが生まれることを表現しました。

タイポグラフィは、やさしい雰囲気を感じられる、丸みのある書体をオリジナルで制作。「人」の色を変えることで、直感的にコンセプトが伝わるデザインに仕上げています。

そして注目してほしいのがこのシンボルマークのイラストの線です。

〇の線がふにゃふにゃ波打っていたり、黒の塗りつぶしにムラがあったり。
一目見ればなんとなくわかると思うのですが、これは手描きのイラストをデジタルで加工して作っています。

もちろん、100%デジタルイラストでアナログ風に仕上げることもできるのですが、この絶妙なムラ感やランダムな線の揺れは手描きならでは。ペンタブではなかなか拾えません。

均整がとれすぎていないからこそ生まれる隙のような違和感、人を受け入れる柔らかい雰囲気は、手描きだからこそ作り出せるものなんですね。


3.ほんの小さな違和感を操る

今回ご紹介したロゴマークに関わらず、ラフ制作から本制作にいたるまで、デザイン制作の現場で「あえてアナログを採用する」という場面は結構頻繁にあります。ペンタブでも描けるのにあえて手描きを選ぶ理由は、やっぱりほんの少しのニュアンスの違いにもこだわりたいから。

そもそもデザインって、チラシ1枚をとっても大きな全体のイメージから紙の隅っこの小さなテキストの文字間まで、ミリ単位以下の微調整を何度も繰り返して作り上げられています。
イメージとしては、「ここだ!」っていう一番居心地のいいポイントを、右へ、左へ、少しずつずらしながら探していく感じ。さながら針穴に糸を通すような緻密さなのです。

そんな繊細な作業の中で、視認性を保つために違和感を消すときもあれば、目を引くためにあえて残すときもある

デジタル技術の発展が今後どんな風に業界を変化させていくのかわかりませんが、そうやってほんの小さな違和感を操ろうと思ったら、デザインにとって手描きでしか出せない質感はまだまだ手放せない大切な要素なんですね。


「デザインがさらにおいしくなる話」とは?

㈱人生は上々だのデザイン制作の裏話をもぐもぐ噛み砕いてご紹介していくシリーズです。
意外と知らないデザインの裏側。そこには一体どんなこだわりが隠されているのか?

CREDIT

Creative Direction:村上モリロー
Art Direction:村上モリロー
Graphic Design:久利優実
Illustration:久利優実


特定非営利活動法人ゆうゆうクラブ
香川県高松市屋島西町2479-12
TEL・FAX: (087) 841-8270
事務局開所時間:平日9:00~17:00ごろ

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