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世界一小さな芸術祭No3〜繋がっていく〜

真ん中にある座椅子にしばらく座っている。

周りの作品と線に囲まれていて心地よい。
この空間の心地よさを更に引き上げているのが入ってきてからずっと流れているラジオだ。

これも作品なのだろう。
楽しそうでいて何よりパーソナリティの声が柔らかで耳に心地よい。言動から察するにとても優しい人なんだろう。線をみたら全員と繋がっている。
「アトリエ憩」というラジオで小川じょうじさんがパーソナリティとなりゲストに毎回参加者を一人ずつ呼んで話すという構成になっていた。
ゲストによって話す内容も変化していて、その声を聞きながらその人のデザインされた額をみているとどんどんその人が見えてくる気がした。

「アトリエ憩」
(小川じょうじ×参加者全員)

「せっかくなら全員と関わりたい」と思いました。全員参加で、他の作品について話ができる“ラジオ”をつくれたら企画全体としても盛り上がる気がしました。スタート後はMC的に試行錯誤をしながら、ゲストとやり取りを楽しめました!(小川じょうじ)

作品説明

ある展示物が目に入り私は座椅子を立ち上がっていた。

これは。

私が目撃した「戯画リンピック マスクオンマスク」ではないか。彼ら二人の戦いの写真の数々、その時のポスター、引地川と寺越と山下を表したオブジェ、戯画リンピックの歴史、マスクオンマスクの説明などがあり、私の頭の中にはあの時の二人の激闘が蘇っていた。
ただ私は納得がいかない。山下の華麗な必殺技の数々、寺越の泥臭い躍動感、引地川の水しぶき、オカリナゆうこの音、ハマっ子さんの存在感、これらが伝えきれてない。歯がゆかった。

「戯画リンピック マスクオンマスク」
(寺越隆喜×山下智代)

私が戯画リンピックの時に書いた記事があるのでそれを見て頂けると幸いです。

引地川にあった鳥獣戯画のオブジェから始まり、¨今¨起こっている事を二人で話し合い、(鳥獣戯画+オリンピック)戯画リンピックをやろうと思い、競技としてマスクオンマスクを考えつく。
引地川河川敷で10/30にパフォーマンスを行う

作品説明

次に目に飛び込んできたのは紙芝居だ。
何点もありオリジナルなのだろうか、あまり聞いた事がない題名が多い。
絵はとてもポップで丁寧に描かれている。
線をたどると吉田みずほさんと中山侑子さんに繋がっている。これは紙芝居屋をイメージしているんだろう。どこかで行われるのだろうか(この時は知らなかったが二人はこれを機に鋼鉄紙芝居ユニット寅パンクを結成)行われるのであればどのようにやるのか一度見てみたいものだ。

鋼鉄紙芝居ユニット寅パンク
(吉田みずほ×中山侑子)
どれも丁寧に描かれている

近くをみるとAmazonの箱と包み紙がある。
中をみるとどちらにも同じ形態の本のようなものが出てきた。開くと写真と言葉が書いてあるフォトブックだ。
一つは梅崎信一さんで、もう一つは吉田みずほさん。それぞれの写真が貼り付けてあり言葉が切りとられて書かれていた。線をみるとどうやら中山侑子さんが二人と作ったもののようだ。
中山侑子さんは二人のこういうところを切りとるのかと彼女の視点が見え隠れしていた。
Amazonをつかっているのは何でも揃っているがどれも同じものはないという事なのかもしれない、そう、人間のように。

「人物採集」
(中山侑子×梅崎信一、中山侑子×吉田みずほ)

最初は、他者への興味からインタビューから始まったけれど、言葉採集だなと思って(中山侑子)

作品説明

隣の小さな机をみると原稿用紙が大量に置かれていた。そして壁にはぐしゃぐしゃになった原稿用紙が貼り付けてある。書きなぐっている文字は汚いが苦労してこれを書いたのは痛いほど伝わる。ノンフィクションライターではあるが書き手としてこの苦労はわかり過ぎる。原稿用紙を手にとり読んでみる。どうやら短編小説のようだ。線をみたら梅崎信一さんが中山侑子さんと村山かおりさんと繋がっていた。もしかしたらこれは梅崎信一さんの実際の視点で進んでいるのかもしれない。だとしたら梅崎信一さんは少し捻くれ者なのかもしれない。梅崎信一さんの顔をみて汚い字で書かれた文章を読み、微笑みが溢れた。

「虚々実々也我私篇」
(梅崎信一×中山侑子、梅崎信一×村山かおり)

日本語が好きで、言葉と写真とを軸にインタビューをTwitterで発表しようと考えていたのですが、いろいろな言葉に触発されたり考えた結果、虚々実々を織り交ぜた私小説にしようと行き着きました
(梅崎信一)

作品説明

全ての作品を見終えて、ふと見ると今までここにきた人の感想が付箋で壁に貼られていて、その近くに感想ノートもあった。
真ん中の座椅子に戻り、それをゆっくり見ていく。多くの人が楽しんでいるようだ。
中でも興味深かったのが、ここは暖かく感じるという感想が多かった事。これは私も少し感じるところがある。ここには暖房もなく外も寒いのになぜなのだろう。
都心の東京ど真ん中で繋がりというものが線や作品で可視化され自分もその繋がりの一部だと心が温んでいるのだろうか、どうなのか、私にはわからない。

沢山の感想で埋められている


簡潔に言うと、『魂のお披露目』『闇は光となり、光は誰かの光となる』『繋がりを恐れるな』です!!
最初は、芸術が分からない私はどんな感想を持つんだろう…って思ってました。が、そんな私でも感じたことが沢山ありました!

思ってても行動に移せない人、勇気がない人、自分を出したいのに表現の仕方が分からない人、沢山いると思うんです。私もその一人です。ただでさえ忘れてしまっていた感情を、人との繋がりが薄れてしまっていた今、気付かされた気がします。

土地も、性別も、年齢も、考え方も、表現の仕方も、全て違う人たちが今自分が出来ることを最大限に活かし、内に秘めた魂をぶつけ合い、繋がりが生まれ、刺激となり、学び続ける、、、。面白いと思ったこと、疑問に感じたことを表現する、、、。これって本当に素敵なことです!!

今回の寺越さんの企画と皆様の作品は、必ず誰かの光となり気づきとなります!

感想ノートの一部抜粋

感想を読み終わり、また先ほどのように座椅子に座り虚空を見つめる。
時間をみたら驚いた事に2時間経っていた。
こんなに私はいたのか、ここに。

そう思ったら階段を登ったのがだいぶ前にも感じるしついさっきのようにも感じる。
不思議な場所だ。

ただ、まだ動けそうにない。
もうしばらくは線や作品に囲まれて座っていたい。

どうやら私はもう繋がってしまったようだ。


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