見出し画像

【広告・マーケNEWS】ギミックの二重奏や「読後感」を売るマーケティング・・などトレンドニュースまとめ

毎朝1つずつ、広告・マーケの最新トピックから得た洞察を投稿しているホイポイプロダクションズのX(Twitter)の1カ月分の内容をテーマ・項目別にまとめて掲載します。

広告クリエイティブ

PickUP①:広告提案自体に、USPはあるか?

商品にUSPがあるように、それを宣伝する広告代理店の広告案自体にもUSPが必要。いわゆる「勝ち筋」といわれるもの。他代理店ではなくうちに任せるべき理由となる強い視点は何か?表現におけるタグラインのようなもので、まずそこを定めてから各チームの作業をスタートさせるとパッチワークにならない。
参考:競合プレゼンを勝利に導いた1枚のシートの力

PickUP②:表現フォーマットもメッセージである。

マクルーハンは「メディアはメッセージである」と言ったが、表現フォーマット自体もまたメッセージを纏う。京セラが若年層との接点づくりのため若手主体で取り組んだ企業アニメーションは「利他の心」という哲学を伝えるもの。社内では否定的な声もあったが、新卒求人が1.4倍に増えたことで認められた
参考:京セラのアニメプロジェクトから考える、B2B企業が若者コミュニケーションに取り組む合理的な理由

PickUP③:生き物の巣を考えて、人間の住まいを考える

広告に必要な気づきを促す方法の一つに「視点の転換」がある。思わぬアングルからモノゴトを見つめ直させることで認識をリフレッシュさせる効果がある。HCC賞に選ばれた和田興産の「心地よい場所って何だろう?」は蜘蛛や蟻、鳥の巣などを取り挙げながら一人ひとりにとっての快適な家づくりを訴える。
参考:「HCC賞」(北陸コピーライターズクラブ)グランプリに、木下芳夫・手代木聡氏による和田興産企業広告

PickUP④:日常の切なさを拾うアプローチ

「子どもが育つことは嬉しいけど、ちょっと切ない」というテーマで制作された花王メリットのCMは、何気ない日常の日々をかけがえのないものに捉えなおす文脈の中で、すっかり日常化したメリットの存在感をもリフレッシュさせるアプローチ。「最終回は気づかないうちに終わっていく」のコピーもよい。
参考:花王「家族と愛とメリット」広告が話題に 制作者に聞く企画の背景

PickUP⑤:日本と世界の「世界観」の違い

日本はモノカルチャーなので過去の記憶の中に分厚い共有体験があり、それが態度変容のレバレッジになる。グローバルなコンテクストでウケるネタと、日本ウケするのは視点のキメの細やかさが全然違う。野球とソフトボールくらい違う。PARTY中村洋基さんクラスでもこの断絶に苦しんだというのは驚き。
参考:くよくよしたら宇宙思考

PickUP⑥:ゲームの設定自体をクリエイティブする

多くの人が一方向に歩いている時に一人だけ逆走すると軒並み顔を覚えられる。同じく広告も周囲と同じことをする場じゃなく、逆を行くことで他との違いを表現するもの(=差別化)。平均CTR0.1%のバナーも、ピンボールのレトロゲームにすることで33.3%にハネる。ABテストの前にゲーム自体を変えてみる。
参考:「ちょっと無理そう」の向こう側に宝が埋まっている

PickUP⑦:切り返しのクリエイティブ

ビジネスだから数字は大事、は正論。数字を追うよりまず愛される方が数字は立つ、も正論。どっちかの議論に傾いた時、自在にバランスを戻させる論を提示できるのがCD。社長を前にして営業が言うと角が立つことを代わりに言う、という自覚がある人はホンモノだ。
参考:ヒットを生む電通のCDとADが語る、クリエイターの本質的な役割

PickUP⑧:不安の実体は÷2.5と心得よ

やったことのない仕事に体当たりしてこそ、道は開ける。フリーランスは特に、積極的に未知の仕事を請けていかないとスキルは陳腐化する(社員だとやりたくないことも強制的にやらされる)。損失回避バイアスの影響で人は同じリスクを利得の2.5倍増しにして考えるので、不安はかなり割引いて考えるべき
参考:失敗するなら、若いうちにしたほうがトクである

PickUP⑨:LIVEの意味がより切実になる

AIが進展するにつれて、逆に生身の人間の価値が再認識されて高まっていく。作曲から歌唱までAIでやって凄い音楽を作ることもそれはそれで価値だが、同じことを一人の人間のアタマで作って、自身の肉体で表現してしまうことの凄みが増す。LIVEの意味もその人の生命の実在性とより密接に、より切実になる
参考:赤松隆一郎さんに聞く音楽とAI  AIを活用すればするほど、クリエイターとしての本質が見えてくる

PickUP⑩:気づき、という知的サービス

広告コピーに含ませる「気づき」とは受け手への知的なサービス。特に努力せずにスッとモノゴトの見方が更新される体験。この認識的体験により、ブランドイメージも同時に記憶される。歌人の木下龍也さんはコピーにも造詣ある人だが、短歌もコピーも同じく共通して日常の気づきが大事だという。
参考:「宣伝会議賞」は言葉の届け方を学べる場 歌人・木下龍也さんと考える「広告コピー」


マーケティング

PickUP⑪:アプローチで差別化する

マーケ支援会社の差別化ってなかなか難しいが、売上や顧客満足といった一般のゴールに捉えなおしを加えて独自性を出すという方法もある。TOPPANとインテグレートが「ウェルビーイング」という軸で協業するというのもこうした取り組みのひとつ。韓国など海外ではメジャーだが日本では普及してない価値観
参考:インテグレートとTOPPANがウェルビーイングビジネスの協業を開始 その狙いは?

デジタルマーケティング

PickUP⑫:追える数字だけバイアス

データ解析の精度が上がり、広告のアトリビューションも正しく追えるようになった結果、これまでは成果の見える刈り取りに注視していたものがブランディングにシフトしている。するとブランドリフトに貢献する接触って何?となり、同じimpでもアテンションタイムの高いクリエイティブを追求するように
参考:クッキーレス時代の最前線。動画広告の“真価”を可視化せよ!

PickUP⑬:認知をとったら、関与度を上げる

よーく知ってるけどまだ自分向けではない、という商品は多い。その時はさらに認知を重ねるより、関与度を上げるコミュニケーションが◎ モンダミンはTikTok内でサウンドロゴで遊べる施策「恋するモンダミン」や連動するリアルイベントを実施。20-30代の大幅なブランドリフトと利用促進につなげた。
参考:アース製薬「恋するモンダミン」が未使用層を振り向かせた理由 TikTok動画で「知っているけど買わない」から脱却

PickUP⑭:制作者はSNSに浸るべし

SNSで話題化するには誰もが語りたくなるテーマ設定が必要だが、そのインサイトのヒントはSNS上に転がっている。仕掛ける側自体がSNSヘビーユーザーである必要がある。また#は以前はアーカイブ目的であったが、現在は#この髪どうしてダメですか のように会話を生むきっかけとして使われ出している。
参考:100件を超えるキャンペーンの知見を集結!~Xから始まるCXプランニング「4X」とは?

消費者インサイト

PickUP⑮:効率化により、手の届かなかったニッチを突く

N=1のニッチなインサイトを突くアプローチはAI活用による制作効率化によって可能になる。メルカリはお悩み解決ストーリーやスペック情報網羅型の王道パターンの効果が落ちていることからAIを活用して「イヤホン片方なくしたらメルカリで」「# メル捨離」などのニッチな利用価値提案で成果を挙げている
参考:生成AIがマーケティングにもたらす影響 研究成果や事例を発表、Hakuhodo DY ONE

ブランディング

PickUP⑯:知ってるけど知らない、という資産

昔からなんか知っているけど試したことない、というブランドは企業の隠れ資産。角ハイをヒットさせたサントリーが今売り出しているのはタコハイ。「タコ」って何なんだろう?ってなんとなく思いながら過ごした何十年の資産が貯まっている。京急蒲田駅ホームでの出店イベント実施も大胆。ホームは新しい
参考:「タコハイ」の酒場、蒲田駅ホームに 駅名やアナウンスも変更…サントリー

PickUP⑰:「棚」もメッセージである。

ひと捻りある販路の獲得は、それ自体が商品の顔つきを創り出すことがある。たとえば洋風サヴァ缶は食品棚だけでなくアパレル棚にも販路を取ることでこれまでの「サバ缶観」の更新を図り、震災以後の防災意識に対するお洒落な「魅せる保存食」としてのポジショニングを獲得。少し高くても買われる商品に
参考:サバ缶がアパレルショップに陳列される? 累計販売数1000万缶の売り場戦略

▶このNEWSを元に制作した記事はコチラ➡魅せる保存食「サヴァ缶」や「ワークマン女子」に学ぶ。売り場のモンタージュでブランドのイメチェンを - アトリエライフ通信 (hoi-poi.net)

PickUP⑱:わかりやすさの支配力

広報PRの価値はメディア露出換算ではなく、その露出によって望ましいパーセプションを獲得できたのかどうか。そのためには量ではなく「どう報じられたか」の議論をすべきだが、いかんせん露出換算は「わかりやすい」。AMECのバルセロナ原則3.0でも広告換算=コミュニケーション価値ではないとしている
参考:広報活動の「広告換算」あり?なし?その答えを考える


プロモーション

PickUP⑲:ギミックの二重奏

プロモーションは「ナニコレ感」がマストだが、ギミックの二重奏にすると割と強めに引力が発生する。たとえば「スリーピー・とうふマットレス」の上でランチできる「寝ころび台湾料理店」。商品自体に強いギミックがあるのに、さらにマットレス×食事という異世界コラボ。
参考:寝具の上で台湾料理が体験できる? 目標の約3倍が来場した「寝ころび台湾料理店」

▶このNEWSを元に制作した記事はコチラ➡思わず二度見してしまう、そしてつい憶えてしまう。「異物感」という広告フック - アトリエライフ通信 (hoi-poi.net)

PickUP⑳:読後感を売る

商品の売れ行きが鈍くなってきた時にはプロモーションの切り口を変えたりパッケージを変えたりする。後者は売り場の工夫としても取り組める。文春文庫が行った「本音屋」は純文学作品の選書20冊を黒く包み、読後に得られるインサイトのみを表示。店内の異物感も相まって前月比3.5倍の販売を記録した。
参考:文藝春秋が期間限定オープン 販売部数が最大16倍の「本音屋」 とは

▶このNEWSを元に制作した記事はコチラ➡思わず二度見してしまう、そしてつい憶えてしまう。「異物感」という広告フック - アトリエライフ通信 (hoi-poi.net)

PickUP㉑:喉を刺激し、想像力を刺激する

ストーリーを持ったCSR(コーズマーケティング)は想像力を心地よく刺激する。爆売れ中のキリンの「晴れ風ACTION」はビール文化を支えてきた花火大会や花見など「日本の風物詩」に着目。一缶あたり0.5円を保全活動への寄付に回すという「ビール飲むだけでいいことした感」が得られる仕組みが心地よい。
参考:過去15年で最大売上の新ブランド キリンビール、文化保全活動が販売増に貢献


メディア

PickUP㉒:買い場で認知接点をもつ

これまでのマーケファネル発想においては認知➡︎購買には時間的距離的な隔たりがあった。今注目のリテールメディアは購買プロセスが見える化最適化されるという一般的なメリットに加え、購買に近い「買い場」において幅広く認知がとれる接点を持てるのも◎。この価値にはまだ適切な名前がついていない
参考:「認知獲得」「販促」の両方使えるリテールメディア特性がメーカーの混乱を招く

PickUP㉓:買った人こそ教育せよ

オウンドメディアの先駆けはヘンリー・フォード。地元の人気週刊誌を買収したり、販売店でPR誌を配布したり。購買客は認知的整合化を図るためそのブランドのよい情報を得ようとするので、合理的。そこで得た情報をクチコミで広めてくれる。ナラティブの起点となるオウンドメディア活用法だ。
参考:週刊誌を買収、オウンドメディアとして活用した自動車王―ヘンリー・フォード


企画の幹は、言葉でつくる。

今回取り上げたような最新の広告・マーケ情報をアップデートしながら、現在様々な企業・ビジネスの支援を行っています。2021年に淡路島移住と同時に立ち上げたひとり会社ホイポイプロダクションズで、代理店サイドと事業部経験、また広告発想と編集視点を身につけた二刀流ライターとして腕を振るっています。単にコピーだけではなく、そもそもの問題点抽出や課題設定から戦略➡表現定着まで一気通貫で手さばきよく対応しますので、モヤモヤした案件があればお気軽にご相談を。マニフェストLPはコチラ▼

▶執筆記事ピックアップ:Newspickはコチラはてなブックマークはコチラ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?