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【記事体広告の世界】第一話:このろくでもない、すばらしき記事体広告の世界へようこそ

はじめまして、神保と申します。広告屋さんです。新卒から10年超、広告代理店に勤務した後、Webメディアにて記事体広告(≒タイアップ広告)の編集・ライティングに5年間注力し、今日に至ります。いつもはおバカなブログばかり書いているのですが、記憶が鮮明なうちに真面目なことも書いておかなきゃと思い、広告ネタ専用のnoteアカウントも始めることにしました。

覚えているうちに書いておかなきゃと思うことは、Webメディアとのタイアップ広告における、記事体広告のことです。記事メディアを読んでいるとたまにサムネイルに「PR」とか「AD」とか「広告」とかついている記事ありますよね、アレです。広告主(スポンサー)が出稿費用を払って、読者に知ってほしい商品やサービスをメディアに取り上げてもらって出る記事を「記事体広告」といいます。その商品やサービスのことをそのまま記事にするのではなく、そのメディアの編集部ならではの切り口で料理して記事化するので「タイアップ広告」とも呼ばれます(こっちの呼ばれ方が多いかも)。

代理店時代にタイアップ広告を数多く扱っており、メディアにコンテンツ制作を依頼していた立場から色々と考えていたこと(何でこの人たち事前勉強なしに堂々と来るんだ・・・とか、そんな人たちに何でクライアントがこんなに優しいんだ・・・とか!)があり、その後メディアサイドに入って色々改善してみたら案外うまくいったので、そんな話をボチボチ(この言葉好きです)していこうと思います。

記事体広告は正しく活用されていない

記事体広告って、そのメディアに載せてもらうことが目的で、肝心の記事の中身についてはメディアの編集任せになってることも多いと思います。でも、メディアに取り上げてもらえばそれでいいのであればPR会社に相談してメディアキャラバンなりしてもらったほうがよっぽど簡単です。一件5-1O万円くらいの単価で複数媒体にドカッと露出が確保できます。一方記事体広告の場合、一本掲載あたりの予算は100万円~400万円ほどかかります。もちろんその分メディア内での強化誘導枠がPV単価50円~100円くらいの分量でつきますが、露出して商品名の認知だけに支払うには効率が悪すぎます(TVCMのリーチ単価は0.1円程なので)。

では、記事体広告に支払う広告費に見合った成果を得るためにはどうすればよいのか?それは一本の記事の中で、競合商品と比べてどこが画期的で、どんな素敵な使い方があるのかという「理解=活用イメージ」まで導いてDemand(ほ、ほしい・・・!という気分)を起こすことなんじゃないかと思ってます(よくオリエンシートには「認知が目的」と書いてありますが、それを書いた担当者の本当の意図はそういうことだと思います)。

ということは、メディアごとの読者に応じて最適な翻訳を行って作る「記事の中身」こそが重要だということです。にもかかわらず、出稿後のレポートにはPV数の報告しかしないメディアがほとんどというのが現状です。PV数は強化枠の調整、また同時に入っているスポンサーの数で簡単に変動するので、振り返りにおいては本来あまり意味のない数字です。ある程度の編集経験があれば、釣りタイトルでターゲット外の読者にも読ませてPVを伸ばすのは簡単ですし。本来、記事広告出稿後のレポートで振り返るべきは、記事本文においてどの文脈が読者に刺さり、どれがイマイチで、次回コミュニケーションにそれをどう活かして展開させていくべきかの省察であるべきです。「想定PVの2倍行きましたね。タイトルが刺さりましたね」程度のことを言うために広告主にレポーティングの時間をわざわざもらうのは失礼です。

「書き方」によって、読者の反応は10倍になる

読者に感想を聞けるわけでもないのに、記事本文の振り返りってどうやるの?と思われるかもしれませんが、私の場合は記事中に設置してあるCTA(Call to Action=行動喚起)ボタンのCTRや、読了率・離脱率を参考にしていました。記事本文でうまく興味喚起された読者は、より具体的なスペックや価格を知るために商品ページへ遷移します。この割合は、BtoCメディアだと3%、BtoBメディアだと1%が平均的な水準です。元々そのメディアの読者の興味関心にピッタリ合った商品だとこれが20%-30%になることもありますが、そのメディアの読者は既にその商品を買っている人も多いでしょうから、コストを投入すべきかは疑問です。編集者の腕の見せ所は、普通に出せば1-3%程度の反応である商品を記事の切り口や見せ方によって魅力に気づかせ、10%-20%に上げることです。この差分が、メディアの編集力によって生み出された付加価値であり、この部分に広告費(のうちの少なくとも制作費分)は支払われているといえます。

この腕の見せ所の部分、「天才コピーライター志望」で広告代理店に入って、残念ながら最後までずっと営業だった私にはすごくやりがいのある仕事に見えるのですが、残念ながらそう考える人は少ないようです。その理由は、記事体広告を担当するのはほとんどメディア育ちの編集畑の人なので、「編集」がやりたくてたまらない人たちであって、スポンサーの意向に振り回される「広告」はなるべくやりたくないと思っているためです。それはそれで当たり前なので、メディアは記事体広告の担当にはちゃんと広告畑出身の人を起用すべきだと思いますし、記事体広告という分野はそうした「書きたいけどなかなかクリ転できない」という人たちにとっての魅力的な選択肢の一つなので、その点を啓蒙していくのは両方の立場を経験した私の役割だと考えています。

というわけで、このnoteでは私が5年間で気づいた記事体広告の活用法、広告業界のキャリアステップとしての魅力、また広告だけでなく文章を書く人全般にも役に立つかもしれない「読者の反応がとれる書き方」などを少しずつ綴っていきたいと考えてます。3日坊主にならないようにがんばります。

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