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高野街道 京大坂道を走る

高野参詣を始めてから何年経つだろうか。

たしか2016年の梅雨時期、避暑に行きたいと思い立ってふと「高野山」が思いつき、ものすごく唐突にその2週間後の予定で宿坊を予約し、初めての高野山で宿坊体験をした。そこでハマってしまった。高野山に流れる凛とした空気に触れると、心の中のザワザワした感じがなんだか整っていく感覚になったのだ。

それ以降、毎年可能な限り2回訪れるようになった。泊まる宿坊は最初の頃から全く変えず、毎回同じだ。おかげで宿坊の僧侶の方とはすっかり親しくなってしまった。年2回でも常連のような扱いをしてくれる。

ちなみに、正しい高野参詣の仕方は未だに知らない。ただ仏教の教えを聞く限り、あまり型にハマらなくてもいいんじゃないかと思えるので気にしていない。
といっても高野山なので、毎回必ず自分なりのテーマを持って行くことにしている。最初の頃は高野山の中の様々なスポットや体験を堪能することにしていたが、高野町内が意外とこじんまりしていることがわかってから、高野町内ランニングを楽しむようになっていた。

そして前回、初めてケーブルカーを使わないという選択肢、極楽橋駅から宿坊までの3km程峠走をやってみたのだ。

調べたときはあまりわかってなかったのだが、現地に降り立って初めて理解できた。極楽橋駅から先の道はあくまで「京大坂道きょうおおさかみち」の一部なのである。

実際のコースはPDFのほうがわかりやすい。

となると、だんだんこの「京大坂道」を走ってみたくなった。全長10kmらしい。峠走になってもいい。時間を使ってでもいい。参詣道と言われているならば、その道を昔の人と同じように自分の足で踏みしめてみたい。真夏のクソ暑い中にやるか?と自問自答しつつも、神戸マラソンもあるので鍛える必要もあるしと言い聞かせ、チャレンジすることにした。


学文路駅から第四の地蔵まで

普段は特急こうやであっという間に難波から極楽橋まで、ノンストップの南海電車で連れて行ってもらうのだが、今回は急行で橋本まで行き、南海高野線に乗り換えて2駅だけ。学文路かむろ駅で下車。

いつもここから電車で30分くらい先の極楽橋駅までだな、と思いながらまだまだ山の麓感溢れる駅前よりスタート。

だが、2つ目の角を曲がった瞬間にもう後悔がスタートする。実家近くにあるような目の前に立ちはだかる坂。上っても上っても坂の傾斜は変われど坂。さすがに走る気になれず、緩やかな坂か下り坂以外は歩くことにする。

途中にお地蔵さんや標識があるのだが、見つけにくくて大体通り過ぎている。認識できたお地蔵さんにだけは手を合わせながら道を進めていく。また、時々分岐点が出てくる。たいていしんどい方と思えば間違いない。

分岐点。左のツラい方。
だいたいこういう坂が続く
これも分岐点。
下れるのかと思いきや
左のちょっと上りのほう。

途中にいくつか史跡のようなものだったりが存在するのだが、標識が地味すぎて通り過ぎること数回。そしてとうとう第四の地蔵に到着。

Googleマップではものすごく森の中を示しているが、実際は分岐点近くにある。この分岐点には、きちんと「丹生にう神社・日輪寺」と書いてあるので、その方面に進めば問題ない。が、これいつまで続くの?というくらい急な歩道が300m程続く。あっという間に上った高さの半分くらいまで下るのだ。目の前が開けたと思ったら丹生にう神社。住宅も点在している町感あふれる雰囲気になる。

第四の地蔵から女人堂、高野町内観光

GARMINが誤作動を起こして途切れてしまったので、気を取り直して再スタート。

丹生にう神社から千石橋は見えるくらいの距離なため、軽くランニングで。千石橋を渡ったところを右に曲がるのだが、再びそびえ立つ坂が見えないところまで続いている。

これが噂の「作水さみつ坂」か…

ハイペリオンテンポを履いてきていたら滑って転んでたかもしれないも思う程急な坂道だ。これも駆け上がるなんてもってのほか。必死に上り続ける。時間がかかるのに距離は全く増えない。感覚では5kmくらい動いた気でいるのに、だいたいその半分くらいしか進められてないのだ。

第一弾の坂を登り切ると作水さみつ集落。第五の地蔵が発見できる。そこに高野山街道ガイドブックがあったが、汗だくでヨレヨレになりそうだったので取るのをやめた。

ここまで来てもまだ高野下駅とか言われると
全然近付いてない感ある…

まだまだ登りは続く。果てしなく感じながらも、車道なので、時折車も通るし地元の人もいるので、なんとか頑張れる。あまりにしんどいので、いろんな史跡があったけど脇目も振らずに進んで行った。第六の地蔵を過ぎたあたりから、上りが急ではなくなるので、少しだけ走ってみるなど。

途中に旧小学校跡を改装して作られたカフェがあった。この道での初めてのカフェ。ハンドドリップコーヒーという旗に心揺らいで少し立ち寄り。マスターと思わしきおじさんと常連っぽい近所のおじさんがお客さんでいるだけだったので、2mの距離が保てる場所に座ってアイスコーヒーをお願いした。

瞬殺で飲みきってしまうくらい
ホンマに美味しかった

学文路から1時間半ちょっとでここまで来たと話すと驚かれる。ハイキングだともっと時間がかかるらしい。まぁハイキングのつもりではないのでね…。ここからさらに高野山の女人堂まで行くというと、15時くらいから雨降るから気をつけてとお天気情報まで教えてくれた。優しい。

ここから極楽橋駅までは緩やかに下るので、張り切って走っていく。途中撮り鉄が興奮しそうな撮影スポットもあってなかなか楽しい。

いざ極楽橋に着いたところで、水分が足りないので、駅のほうまで行き構内の自販機を使わせていただく。こういうところは田舎な感じで好きだ。水分をしっかり持って、不動坂を上る。この登りも先の作水さみつ坂に次いでキツい。

極楽橋。ここから先が聖域っていうやつ。

約2km。熊も出るので気をつけて行ったほうがいい。気候が良い時はハイカーも多いけど今回は下ってきてるランナーさん1名のみ。前回はたぬきもいたんだけどな。

女人堂にょにんどうまで舗装されてるけど落ち葉とかは被っているので、雨上がりは気をつけたほうがいい歩道が続く。ただし上りきったらもうそこは高野山。

京大坂道終点の女人堂
高野山駅からバスで来ると1つ目の停留所
こんな入り口らしきものがあるのを知ったのも
3回目くらいに来た時だった

昔、女性は女人堂までしか行けず中には入れなかったのだが、今は関係ない。この高野山の門構えを見ると、やっぱり「来たな」感がある。特に今回はようやく到着したぞ!という充実感も大いにある高野山参詣になった。

京大坂道、車道と歩道だが十分にアウトドア感は堪能できた。京大坂道きょうおおさかみちソロラン、ぼっちだからこそ堪能できる楽しさがある。

2022.11.13追記
こんな記事も見つけたので、わたしの備忘録を兼ねて。

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