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【詩】 真夜中

真夜中をくすぐる思考の端くれ達 

泡のように浮かんでは消えて
泡のように浮かんでは消えて…

音も無くはじけては
深まる夜に合わせて
その強度は増していく

泡沫の時を楽しむかのように

間断なく立ち上る気泡

音を立てては消えていき
再び浮き上がる

時間を経て発酵された

シードルの甘美な果実味のように

豊満で脆弱な魔力が

意識の隙間をくまなく波立てる


自我に対して無遠慮な思考に
抗うことなどできず
なすがままに薄明るい深海を彷徨う

相反するハズのない自己との会話

外側から聞こえてくるようで
内側から聞こえてくるもの

ひたすらくすぶっていたものが
燃え広がっていくようにも感じた

テイラー・スウィフトの「ミッドナイツ」を深い夜と共に黙って聴いている。

答えを見つけ出せそうで
自分の言葉を刻めない

ただただ黙って聴いていることが
唯一の出会いなのかもしれない

そして

今この瞬間が自由なのだ

存在しえない魂を
孤独を微笑むように



真夜中は

理性が本能に対し極めて謙虚であり

そして

戸惑う程に従順である。



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