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秋の夜長に…

何をしよう。

折角の秋だ。

この過ごしやすさに身を委ね、秋活と意気込んでみようか。

まぁこれだけ季候が良いと普段やってることでも、不思議と意欲倍増にやる気に満ちていると感じてしまうんですがね。

だから何も特別に普段しないことをしなくても…。

ってなわけで普段通りに音楽鑑賞といきましょうか。

春夏秋冬と四季が分かれている日本。

不思議と同じ曲を聴いていても、その曲に対しての印象は季節によって変わってくるものだ。

季候が穏やかになり、過ごしやすいこの時期。

少し物悲しい雰囲気もあるのだろうか。

妙に心にグッとくる曲を聴きたくなる。

まぁ人それぞれなんでしょうが…。

ここ最近は飲食店などで店内のBGMで流れてくる演歌にも、感情を掴まれる時がある。

演歌を日常で聴いているわけでもないし、全く演歌に詳しいわけではないけど、やっぱり「ジャパニーズ・ソウル」なんでしょうね。

沁みるんですよ…。

年齢のせいもあるのかな(*´д`*)

演歌の話ついでに、某YouTubeにタマタマ流れてた演歌歌手鳥羽一郎が、自らのヒット曲「兄弟船」をアコギ1本で弾き語りをしていた動画を視聴した。

いや、すげぇの何の。

ギターを流暢に弾かれていて、その音に寄り添うように唱うその渋さ…。

いや、ちょっとグッときた。

ってかギター巧いし。

何か音楽に対する姿勢みたいなんが垣間見えた鳥羽一郎氏の弾き語り動画。

確か五木ひろしもギターが巧いとか話聴いたことあるような…。(違うかも)

長く現役として活躍されてるのは、やはり本人の努力の賜物なんだろう。

マジスゴいっす。

っとまあ、ジャパニーズ・ソウルの事に触れてはみたものの、この秋の夜長に普段聴いてる曲は別のもの。

その中でも最近よく聴いてるアルバムの事について触れてみよう。

額についた生々しい傷。
ニヤッとしたドスのきいた笑顔に不揃いの髭達。
ドロンとしながらもギラついたような鋭くもある眼光…。

このジャケットの印象たるや!!



リトル・ウォルター

マジでパンチのあるジャケットだと思う。(笑)

顔に滲み出る不遜な感じは(失礼ですが…)、一目見たら記憶に残るし、CD盤でも迫力あるんだが、LP盤だとさらに凄いんだろうなとジャケットを見ていてスゴスゴと感じてしまう…。(LP盤の方がデカいから)

この迫力あるメンチを切っている御方はリトル・ウォルター。

本名はマリオン・ウォルター・ジェイコブズ。

卓越したブルース・ハーモニカ奏者であり、クールな歌声に乗せてシカゴ・ブルース全盛の時期にチャートを賑わせた御仁。

初めて【アンプリファイド・ハーブ】という手法を用いた方でもある。

ちなみにハーブと共にヴォーカル・マイクを手で包み込み、ギター・アンプでその音を電気的にその音を増幅する演奏法の事を、件のアンプリファイド・ハーブというそうだ。

リトル・ウォルターは1930年5月1日に米国ルイジアナ州マークスヴィルに生まれている。

同世代や少し年の離れたブルースマン達と言えば、フレディ・キング(1934年生まれ)、バディ・ガイ(1936年生まれ)、マジック・サム(1937年生まれ)、B.Bキング(1925年生まれ)と言ったところか。

更に上の世代だとマディ・ウォーターズ(1913年生まれ)、ハウリンウルフ(1910年生まれ)、Tーボーン・ウォーカー(1910年生まれ)などなど…。

8歳頃からハーモニカを吹き始め、当時その道の先人であるサニー・ボーイ・ウィリアムソンⅠ世やサニー・ボーイ・ウィリアムソンⅡ世の影響を受けて自らのハーブ道に磨きをかけたそう。

 
リトル・ウォルターは1947年頃にシカゴに上京する。

1947年には初録音をしている。

17歳の年だから早熟の天才と言ったところか。

そしてジミー・ロジャースの紹介でマディ・ウォーターズと知り合い、いよいよと表舞台に立つことになる。

1950年にはマディのチェスへのレコーディングにも参加し、やがてソロ活動をスタートさせる。

1952年には自らのソロ作であり、インスト曲「JUKE」をR&Bチャート1位に押し上げ、そこから1955年までの間立て続けにヒット作を生む。

シカゴでチャンスを掴んでからは、順風満帆そうに見えるキャリアであるが、まあ写真の見た目と素行が一致するもんでありまして…。

かなりの、ヤンチャで悪童であり現代風に言うとプロレスファンなら御存知のフレーズ、「制御不能のカリスマ」と言ったところか。

ちなみにポール・オリヴァーが著した「ブルースと話し込む」には取材で彼に会った時のことを書いている。

何でもくるぶしに受けた銃弾の傷から回復途上だったとのこと…。

大の喧嘩好きで(額の傷が物語る)、お酒も大好きで中々の破天荒ぶりを発揮していた。

1968年2月に喧嘩が原因とも言われる傷で(心臓に血栓が詰まった)シカゴの知人女性宅で、眠ったまま息を引き取っていたそうだ。

享年38歳。

人生をひたすら我が道を突っ走ったという感じか。

ただリトル・ウォルターのサウンドは後世にも影響を与え、ローリング・ストーンズはウォルターのシングル曲をカヴァーなどしていたりする。

確か存命中には一緒にツアー周ったりしたんだっけかな?(違っていたかな)

何にせよ、当時電子の音と増強力でサウンドのメインストリームを走り始めた「シカゴ・バンド」に合わせるように、「アンプリファイド・ハーブ」でバンドサウンドと融合し、ブルース史に名を刻んだその歩みは不滅な足跡でもある。

そして件のジャケットのアルバム「Hate To See You Go」

ウォルターの2枚目のアルバムでもあり、後期(50年代後半~60年代前半位)の作品を集めた録音集でもある。

リトル・ウォルターのバンド・サウンドを主に担っていたのがギターのルイス・マイヤーズやロバート・ジュニア・ロックウッド、ベースにウィリー・ディクソン、ドラムスがフレッド・ビロウと言った布陣。

ブルースのフィーリングを保ちつつも、作品の振り幅は広くリトル・サウンドは何とも都会的な印象を与える。

どこか世代が上のマディや、ハウリン・ウルフ達のサウンドとは違う洗練された感じか。(当然マディやウルフのサウンドも洗練されています。)

マディなどは基調にあるデルタの、故郷ミシシッピーのフィーリンングを感じさせる粘っこい、ダウンホームな印象のある曲もあったが、マディ達よりも世代が下のリトル・ウォルターはR&Bや、ジャズ、ソウルなどの影響も受けたのではなかろうか。

ちなみに活躍していた年代や、発表された作品達が前後するので関係ないという前振りをさせて頂いて書かせて頂く事で…

ファンクやR&Bの始祖ともいえあれるジェームズ・ブラウンは同年代の1933年生まれ。

50年代にも音楽活動をされていたが、本格的に注目されたのが1960年代から(違っていたら御免なさい)。

そうやって考えるとこの辺からブルースや、R&B、ソウルなど色々な広がりを見せていたのねと感じてしまう。

当時まだ20代のリトル・ウォルターの感性はブルースのみならず、色々なジャンルの音楽に刺激されたんではなかろうか。

さてアルバムの収録曲について…

1.ノーバディ・バット・ユー
2.マイ・ベイビーズ・スウィーターズ
3.ローラー・コースター
4.アズ・ロング・アズ・アイ・ハブ・ユー
5.ローラー・コースター
6.アズ・ロング・アズ・アイ・ハブ・ユー
7.エブリシングス・ゴーイング・トゥ・ビーオールライト
8.メロウ・ダウン・イージー
9.ヘイト・トゥ・シー・ユー・ゴー
10.アイ・ガット・トゥ・ファインド・マイ・ベイビー
11.エブリバディ・ニーズ・サムバディ
12.ブルー・ミッドナイト
13.アイブ・ハド・マイ・ファン
14.キー・トゥ・ザ・ハイウェイ
15.ブルー・アンド・ロンサム
ボーナス・トラック
16.アイ・ガット・トゥ・ファインド・マイ・ベイビー
17.アイブ・ハド・マイ・ファン

少し甲高く、親しみを持ちやすい声ながらも上手く音程を転がして、深みのあるヴォーカルを聴かせるウォルターの声。

そしてほぼほぼモノラル録音であり、時代性を感じるサウンドは懐古的に感じつつも、やはり洗練されたバンド・サウンドとウォルターのハーブの響きは現代的とも言える。

喫茶店やバーなどでBGMとして流れてても良いんじゃなかろうか。

ってか多分どっかで流れているはず…!!

①の出だしからジャジーにビートを効かせたサウンドから不遜にも聴こえるウォルターのヴォーカル。

節回しが心地よいし、曲間に入る彼のハーブたるや…。

力強さとノリの良さが同居したプレイは秀逸だと思う。

この曲もなんだけど、アルバム全体に言えるベースラインがこれまた印象的である。

まあ、各楽器とも印象に残る音なんですが…。

④のソウルやR&Bを連想させるような歌いまわしや、ベースの土台に乗るギターのチョーキングやビブラートを効かせた印象的なプレイ、これが何ともオシャレにブルージーに響いている。

さらに腰に響くような横ノリのダウンな印象はドラムのプレイのなせる所業か。

最初一聴して一番印象に残ったのが⑦か。

肩の力の抜けたシカゴ・サウンドに唸り響くウォルターのハーモニカと、へたりこむように、だが力を入れる時は曲の力加減の範疇を飛び出さないようにして歌い上げるウォルターの歌い方がたまらない。

最後のフレーズの「Everything…」ってところが最高なんですよ。

⑫はインストナンバー。

これがまた味わい深い。

曲のイメージに合うように深い、そして暗く沈んだウォルターのハーブの響き。

それに寄り添うようにドラムと、ベースラインが土台となり、ギターが深く沈みがちになりそうな印象を何処か明るい印象をもたせてくれるような、大げさに言って名演とも言えるんじゃなかろうか。

そしてブルースのスタンダードとも言える⑭。

色々なブルースマンがカバーしている曲。

クラプトンもカバーしている。

スローなテンポで、決して気張るような雰囲気でなく、少し気だるさを携えたようなウォルターのヴォーカル。

ハーモニカは攻撃的ではなく、あくまでも曲に合わせた印象的なハーブの音色。

シャッフルのビートが乗った、どこかくたびれたような雰囲気は(良い意味で)誰のカバーとも違う、「ウォルターのキー・トゥ・ザ・ハイウェイ」っといったところか。

そして何と言っても⑮か。

ローリング・ストーンズの2016年に発売されたブルース・カバーアルバムのタイトルにもなっている「ブルー・アンド・ロンサム」。

ちなみにアルバム内でもこの曲はカバーされている。

いや、まじ最高っす。

曲の冒頭から印象的なギターの速弾きのゾワっとさせるような音色や、フレーズ、そしてスローなブルースナンバーを屋台骨として支えるドラム…。

何と言ってもウォルターの歌い上げっぷりよ。

叙情的、エモーショナルに、ソウルフルに、さらに一種の色気をも感じさせる珠玉のナンバー。

そしてBRUEな波動に追い打ちをかけるようにして入り込む、ウォルターのハーモニカ。

個人的な意見だが、マジ名曲やし、沁みます。

ストーンズがカバーしたのが何となく分かる珠玉のナンバー。

曲の全てが忘れられない程良いアルバムだし、大好きだがやはり⑮の印象は強烈だ。


・ちなみにストーンズVerを…

っとまあ自分なりにアルバムの印象を書かせて頂きました。

ブルージ―でありながらも、どこか垢ぬけていて、都会的。
そしてウォルターの感情に訴えかけるようなハーモニカと、歌声は最高だと思います。

この雰囲気はまさしく秋の夜長にピッタリなのかな…?

なんちゃって。

そして追記的に書くと⑮でもそうなんだが、多分ウォルターがヴォーカルマイクに近づいて歌っているような声の響き方がする箇所も大変良いと思う。

凄い声が張り付いているかのような響き方と言っても良いのかな?

あくまでも推測なのでどうかご容赦を!

さあ今日もこのアルバムをちょいと聴いて寝るか…💤

記事を最後まで読んで頂き誠にありがとうございます!

アルバムには収録されてはいないけど、代表曲の「My Babe」を。

これがまた良いんです。














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