【詩】 風
いつからだろう
静けさを受け入れ始めたのは
街と人々が混ざり合い
乾いた空気が支配していたあの頃
何も為す術なく
ひたすら歩いてきた
どれ程歩いてきたか
歳月に不自然なほど語りかけ
幾重の道を歩んできた
やがて清明の時を迎え
世界の鼓動は賑やかで隆起していた
様々な色彩 様々な模様
美に対して かくも浮世は誠実であることか
だのに
独りでいる静謐さこそが私の全て
どれだけの時間を
祈ることに費やしてきたのか……
独り歩く
気付く
綺麗に咲き誇るハナミズキの色彩に
蒼空とは対極的である無垢な白
白という色彩が
乾いた言葉を包み込む
そして街路樹達は風と共に舞い上がる
ゆっくりと
確実に風は吹き抜けていく
ゆっくりと…
永遠に風が乾いた世界に吹きぬける
そして花びらと共に空を舞う
風よ…
ボブ・ディランのように
風の中に答えを見つけられたなら
どれ程強く生きられるだろうに
人は強く生きる事は困難な事かもしれない
だが答えを自問自答することはできる
今ここにいること
いま、ここに在るのだ。
風よ
強く吹いてくれ
一瞬の風を逃すような
生き方はしたくないから
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