BtoB営業のための

顧客分析論(1)営業力を高める顧客業界の分析

今日はBtoB営業のための顧客分析方法についてやります。

顧客から購入頂くには、顧客の立場になって考えることが求められます。つまり、なるべく顧客の業界について精通しておかないといけないってことになります。

簡単に言えば、業界人としての素養が必要となります。

ですので、商談で顧客から業界のことを直接教えてもらうことはとても重要です。

あるいは最近ならSPEEDAのような業界に関するデータを素早く簡単に集めることができるようなツールを活用することもできるでしょう。

ただ、気をつけるべきことは情報はナマモノだということです。

顧客から業界の一般論をいくら聞き出しても、ツールから正確な統計情報が出せても(そしてそれがどんなに最新の統計結果でも)、体系化された情報だという時点で、もうだいぶ古い情報です。

最初の業界を学ぶというレベルにおいては、顧客やツールからアウトラインを学ぶ意味があります。

しかし、プロであれば最新の情報を取ってきたり、優れた仮説を生み出せるほどの研ぎ澄まされた業界分析が不可欠です。

そのために必要なことは、非常に感度のよい質問、深く突っ込んだ質問を顧客に投げかけ議論を行い、何よりも良質なインサイトを得られるかが鍵になってきます。

(なお、よい質問に回答してもらえる前提として必要な「顧客との信頼関係づくり」というステップは今回は触れません。)

ではこうした良質なインサイトはどのようにすれば得られるでしょうか?

今日は、モデルケースとして複合機メーカーに焦点を当てます。

最近の話題だと富士ゼロックスでいろいろとありましたね。

まぁこの記事は参考まで、です(ちなみにこの記事に出てくるグラフの出典元、IDCはこの業界調べる上ではよく出てくる情報源なので覚えておいて損はないです。)

話がそれましたが、複合機メーカーを顧客に持つ営業担当になったつもりで、どのような下調べや情報収集が必要かを考えてみたいと思います。

答えの一つに、すごく粒度の細かい情報収集が必要となってきます。  

呆れるほど骨の折れる作業ですが、ラインナップごとの細かな出荷台数を把握するのは基本中の基本となります。モノクロ機とカラー機では粒度は全く粗いのです。

複合機業界は幸いなことに金を払えばかなり細かく出荷台数を出している統計があったりします。それに各社がラインナップの切り口をきれいに分けてくれてます。

■キヤノンの場合

まずはカラー機。

次にモノクロ機。

次に中古品。

縦軸が製品価格、横軸が印刷速度です。

■富士ゼロックス

FX(富士ゼロックスの略)はモノクロとカラーが共通です。

しかしやはり、縦軸は製品価格、横軸が印刷速度です。

■リコー

これもカラーとモノクロ共通ですね。同じく製品価格と印刷速度ですね。

他にも何社かありますが、とりあえずBIG3までにしときます。

この各製品が何台出荷されているかを掴む必要があります。

***

たとえば最上位モデルでこの3社をためしに比較してみましょう

■プロダクト名
キヤノン imageRUNNER ADVANCE C7580 III
FX      ApeosPort-VII C7788
リコー  RICOH MP C8003

各社、最後4桁の数字が製品スペックや仕様と連動してそうですね。

■価格を見てみると・・・
imageRUNNER 300万円〜
ApeosPort    478万円〜
RICOH MP           414万円〜

キヤノンが安い。

■印刷速度は・・・
imageRUNNER  70ppm(A3用紙)
ApeosPort    70ppm(ただしA4用紙)
RICOH MP    80ppm(A3用紙)

リコーが早い。

***

これを見ただけでもいろいろ疑問が湧いてきませんか?

キヤノンはコスパは良さそうだが低価格路線なのか?

FXは価格が高い割に性能が低いがなぜなのか?

リコーは速度を重視しているのか?

そして結局どれが一番台数が出ているのか=人気があるのか?

といったところです。

出ている台数はエリア(国や地域)まで分けれたら最高ですね。

例えば先ほどの3つのモデルは発展途上国ではそんなに出荷されません。

300万円から400万円もする超高級複合機は買えませので。

当然ながら安いモノクロ機が主流になります。

なので、東南アジアとかのモノクロ機の出荷シェアを確認する必要も出てきます。

こうやって、各製品の出荷台数の分析を細かく行うだけでもかなりのインサイトを獲得できるのです。

そして、これは統計を買ってきてアウトラインを捉えるとともに、顧客の購買を捕まえて、少しずつつぶさに情報精度を高めていく他に道はありません。

プロのBtoB営業が顧客から何を聞き出しているかと言えばこういう数字です。

さて次回は、この出荷台数に加えてどのようなデータ収集や解析が必要なのか、その続きを見ていきたいと思います。

本日はここまで。

ということでおやすみなさい。



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