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複数のアートが織り重なる -須藤玲子[NUNOの布づくり]@丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、再び。

 本稿は、企画展の須藤玲子[NUNOの布づくり]について。


美術館入口のインスタレーション

 まず、美術館正面の「作品」が目を引く。これは、展示の一作目、インスタレーションと捉えていいのだろうか。

 JR丸亀駅前の広場から観るとこんな感じ。

 巨大な布(カーテン)?が風に揺れる。まるでこれから、舞台がはじまりますというかのような。

 美しく、そして飽きないパブリックアートだ。

◎概要
テキスタイルデザイナーの須藤玲子(茨城県出身、1953 –)と、須藤が率いる「NUNO」の活動を紹介します。思いがけない素材を使用したり、伝統的な職人技と最新の工業技術を組み合わせたり、いち早くサスティナビリティに取り組むなど、従来の概念にとらわれないアイデアあふれる須藤とNUNOのデザインは、身近な「布」に新たな視点を次々に提示し、現代のテキスタイルデザインをリードし続けています。(後略)

展覧会概要より

 この入口展示からも「ただの企画展ではないのだろう」という予感があったが、そのとおりだった。

布、のバラエティ

 最初の展示では、わたしのような初心者にもわかる、布とはなにか、が、さまさまな角度から示される。


 手触りを感じるため、あえて見本の布を触らせてくれる展示もあった。

 ピンで固定された布の下に、解説文がある。

織機を展示+映像+音で再現

 会場には、さまざまな「機械音」が響いていた。隣の展示室で聴いていたときは、本物の機械を稼働させているのでは、と思ったほどだ。

 よく見れば、天井から画像が投影された、これもインスタレーション。

展示+インスタレーション+映像→リアリティ

 さらに凝っているのは、今まで紹介してきたよ要素のかけ合わせだ。

 例えば、このデザイン画。

 完成して製品になったのはこちら。

 織機は、こんなふうに再現、展示されている。

 ミシンの針は、一瞬をとらえたかのよう。

 さらに、その奥の展示室では、実際の布づくりの工場のようすが、ドキュメンタリー映像として流されている。

 カットされリボン状になった布を、職人がきれいに並べていく。

 映像を観て、再び展示に戻れば、「そういうことか」という気づきもある。

 なんと工夫された展示だろう。わたしのような予備知識のない者も、「面白い!」に動かされて、何度も行き来してしまった。

 本稿で紹介しているのは一例だが、それが、数多くのパターンで示されているのだ。興味のある人なら、さらにさらに、引きこまれるだろう。

 これら完成作品の一部は、販売もされていた。

「好き」を究めた作家の言葉

 展示の最後は、作家のことばで締めくくられていた。そして、布たちが実際にどこで観られるのかの説明も。

 また本企画展は、猪熊弦一郎現代美術館の企画とも連動している。

 その話は、別の記事にて。



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