森美術館20周年記念展 ワールド・クラスルーム:④ [社会]02
すでに3回足を運んだ、「森美術館開館20周年記念展 ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」。
今回は、【社会】の続きから。
ヴァンディー・ラッタナ
農村風景の写真群。共通点から見るに、大小さまざまな池がテーマらしい。そしてそのテーマは、(今までの作品たちの流れから)ただならぬものらしいことは推測できる。
作品名はコンポントム(「爆弾の池」)シリーズ。この池や湖は、絨毯爆弾が落とされた跡のクレーターだという。
これはルポルタージュではあると思うのだけど、アート? という問いへの回答は、下の解説でなされている。
ディン・Q・レ
同じく、ベトナム戦争を題材とした作品。ベトナム戦争時に、北ベトナム軍に従軍した画家の作品100点と、晩年を迎えた彼らのインタビューで構成されている。
作家は取材のなかで、画家たちとかなりのコミュニケーションを重ね、よい関係づくりを成功させたことが、画面越しの画家たちの表情から読み取れる。
画家たちが描いた戦士のポートレートは、訃報とともに遺族に送られることもあった。誰の遺体かもわからない遺体のポケットから絵が出てきて、誰かを特定できたこともあったという。
画家たちの回顧はさまざまだが、戦争に美などないが、たとえその間であっても美を見い出すのが芸術家の役割、というコメントが記憶に残った。
パンクロック・スゥラップ
ボルネオ島サバ州のコミュニティで活動する作家。ボルネオは3国が領有し、サバ州も多様な人々が暮らす地域のようだ。
イー・イラン
【国語】でも登場していた作家、再び。
改めて、アートとは、その見た目の美しさ、かわいらしさだけを愉しむこともできるし、そこから作家の意図するところに入り込んだりそれを推測したりして、深く潜っていくこともできるものだと感じる。
畠山直哉
ただ静かな風景写真が並ぶ。作家にとっての、非常にパーソナルな作品だと読んで、合点がいった。
次回も、【社会】の続きから。
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