新井碧[持続する線]@銀座 蔦屋書店(@GSIX) -身体の記憶,追体験
新井碧 個展「持続する線」~6月20日@GINZA SIX内の銀座 蔦屋書店。
「身体の記憶で描く」
「眼でなく、手で描く。意識の記憶でなく、身体の記憶で描く。」作家はステイトメントで語る。
鑑賞する者は、まず全体を眺め、キャンバス上を走る線を追うことになる。いや、そうしないではいられない、と思う。
細い線、勢いよく太く駆け抜ける線。ダイナミックに動き回る線。1本1本の、その「筆跡を追体験」することになる。
この追体験をして(させられて)しまうところが胆だ。
作家は意識の記憶でなく身体の記憶で描くと言っているのだから、それは作家の無意識の顕現だ。それを共になぞるというのは、作家の無意識に一緒にアクセスしているということなのではないか、と思う。
知らず知らずのうちに作品世界にわたしたちも取り込まれ、あたかもメタバース的な世界で、アバターを通じて作品世界を探索するような状態に入っているのかもしれない。
不思議な巻き込み力に魅せられる
わたしが強く感じたのは、つまり、これら作品の巻き込み力、のようなものだ。
ただ美しく家に飾っておきたいと思わせるだけでなく、自分がその中に入るような経験をさせてくれる。作品がすべて売却済だったというのも、納得がいった。
作品と観る者との間に関係が生まれてしまう。だからまた観たくなる。
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