青森県でホームレスになった話 6
どうも、ひかりちゃんです
トラックの下で眠って
起きては寝てを何度か繰り返した。
当時、夏といえど夜は
それなりに気温も低く
トラックの下で、風こそ凌げたものの
地面はコンクリートで熱が冷めており
身体は完全に冷え切っていた。
それに加えて、海の近くで
フナムシが大量に湧いており
睡眠中、何度も這い寄ってくる感覚で
全く、寝た気にならず
少しずつ陽が昇り始めるであろう
5時頃、トラックの下から這い出て
立ち上がってみると
全身の怠さ、寒さで震えており
頭のてっぺんから爪先、至るところが
バキバキと音が鳴るほど痛く
特に頭痛、眼球の痛みが酷かった。
身体の重さを堪えて
駐車場から離れることにしました。
その日も当然ながら
行き先も、あても、目的もなく
歩くか座る、どちらかの
選択肢しかない1日が始まりました。
まず、スマホの充電が出来る場所を
把握、確保しておくべきと考え
八戸市内のパチンコ屋を検索
昨夜入り浸ったパチンコ屋へ
再び行くのも考えましたが、連日
遊戯も行わず休憩スペースだけ
使用するのは怪しまれると思い却下
あらかた調べ終え
海寄りの地区から、本八戸駅を
目指して歩くことに。
距離的には2〜3kmと、徒歩で
行けない距離ではなかったが
怠さ、不慣れな道ということで
物凄く遠い道のりに感じました。
道中、何度かコンビニに立ち寄り
無意味に店内を周回したり
立ち読みして時間を潰したりしつつ
あわよくば、おにぎりやパン
お菓子を万引きしてやろうと
魔が差したものの
店員と目が合うだけで挙動不審になり
それ以上に
空腹であろうと、窃盗(万引き)を
行うことへの嫌悪感、
いざ窃盗を行う度胸すらなく
退店して、別のコンビニを見つけては
同じことを繰り返していました。
飴玉を舐めて空腹を紛らわし
コンビニや公園のトイレで水分を補給
ようやく辿り着いた本八戸駅は
想像していた主要駅の理想像とは
程遠く、駅周辺も休める場所や
時間を潰せそうな場所が見当たらず
その日の最終目的地を
現在地より6kmほど離れた八戸駅へ変更。
パチンコ屋が営業している時間帯になり
八戸駅までの道中、何店舗か
パチンコ屋を巡り店内を周回しましたが
小さな休憩スペースはあっても
携帯充電器は置いておらず
少しだけ休憩スペースで休息を取り
目的地である八戸駅へ到着しました。
八戸駅周辺を新しい拠点に決めて
それほど遠くない距離一帯を歩き回り
何処か、少しでも現状より良い場所が
ないか捜索することに。
人気のない、ボロボロの
コインランドリーを見つけたので
中に入ってみると洗濯機はもちろん
椅子、数冊の漫画本や雑誌が
置かれており、ひとまず入ることにした。
利用客はおらず、私は椅子に座り
「ゲームセンターあらし」という
タイトルの、ボロボロの漫画本を読んだ。
内容自体は覚えていないが
絵柄とタイトルが印象に残っており
未だに忘れることはない。
ある程度の時間を潰して
コインランドリーを出ようとした時
洗濯機の上に、誰かが置き忘れたであろう
ライターを見つけて、手に入れた。
コインランドリーの外には灰皿があり
周りを気にしながら、灰皿を漁り
長いまま捨ててあるタバコの吸殻を
数本見つけて、持ち去ることにした。
この時点で
誰が吸ったかも分からないタバコの吸殻
を再利用して自分が吸うことに
抵抗感すら芽生えておらず、丸1日ぶり
に身体へとニコチンを取り入れること
が出来る喜びで胸がいっぱいになった。
吸ったことがない銘柄の、赤の他人が
吸い終わったタバコに火を点けて
灰一杯に煙を吸い込む。
頭の血がサーッと引いて貧血のような
感覚に陥る、ヤニクラというやつだ。
1度、火を消した吸殻に
再び火を点けて吸うと灰が混じった
味がして、正直なところ死ぬほど不味い
しかしその時
久しぶりに吸ったタバコは美味かった。
度重なるストレスから
ほんの一瞬だけでも解放されるような
肺から全身に煙が行き渡るのを感じるように
フィルターが燃えるギリギリまで
何度も煙を吸い込んで、ゆっくりと吐いた
美味かった。
残り2.3本ほどの吸殻をポケットに入れて
何処か休める場所を探し求めて
再び、歩き始めた。
それではまた次回