猫目石/memories

コーヒーのミルクが ト音記号を描いて沈んだ
5月のスローモーション
君の中の桜色は 今どんな色してるの
そんな話をしよう

インクの中に 言葉 落として 落として
赤と青の巻き糸で 拾い上げる
或いは オリエンタルブルーに黄昏をステアして
あの日へと繋がるルームキー 探しに行こうか

思い出して
ここは 夜汽車が巻き上げた星屑のコクーン
君の好きな音楽を聴きながら
冷えたスプーンを口に運んだ
嘘みたいに静かな夜だから
この空間を震わせたかった左手
コットンキャンディーが舌の上で 弾けて
痺れて 溶けていく

二人 花火で描いたSOSの前で 笑顔だった季節
革靴で歩く 廃線の枕木に
挟まった手紙と写真に 手を伸ばす
スモーキーな夜空に 一つ 彗星が滑走した
木蓮の白が 淡く咲いては 明日と彷徨う

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